ウイルス「機能獲得研究」 アメリカ政府が中国などへの助成金停止
アメリカ政府は、ウイルスの感染力や毒性を高める「機能獲得研究(Gain of Function, GOF)」への助成金を停止する。2025年5月5日、ドナルド・トランプ大統領が大統領令に署名した。今回の措置は、特に中国など「懸念国」で行われているGOF研究への支援を打ち切るものであり、今後米国の公的資金がこれらの研究に流れることはなくなる。
機能獲得研究とは、ウイルスなどの病原体に人工的な変異を加え、感染性や病原性、生存能力などを増強させる研究を指す。2010年代には、米国の研究資金が非営利団体エコヘルス・アライアンスを通じて中国・武漢ウイルス研究所のコウモリコロナウイルス研究に提供されていたが、この助成金は2020年に一度打ち切られた後、バイデン政権下で部分的に復活していた。
今回の大統領令は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックの起源をめぐる議論が背景にある。トランプ大統領は、中国・武漢ウイルス研究所からのウイルス流出説を繰り返し主張してきた。米国国立衛生研究所(NIH)のジェイ・バッタチャリア所長も「こうした研究は世界を危険にさらす」と述べている。
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