米議会2025年報告書 中共が法輪功迫害・臓器収奪継続 拷問・黒監獄の実態
2025年12月10日の世界人権デーに、「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会」(CECC)は「2025年度報告書」を発表し、中国の人権状況を評価した。報告書は、中国共産党(中共)が引き続き法輪功をはじめとする複数の集団を迫害していると指摘している。拷問、生体臓器収奪、非公式拘禁施設などの手段が用いられているという。
CECC委員長を務めるダン・サリバン(Dan Sullivan)上院議員は「中共は何度も約束を破り続けている。人権侵害や約束違反に対しては、必ず代償を支払わせなければならない」と述べた。
共同委員長のクリス・スミス(Chris Smith)下院議員は「中共は国内で暴政を敷くだけでなく、覇権を国外に輸出し、国際秩序を破壊している」と指摘した。
副幕僚長のピエロ・トッツィ(Piero Tozzi)氏は大紀元などのメディアの取材に応じ、「中共は人道に反する政権であり、世界の他国もアメリカに続き『臓器強制収奪防止法』や『法輪功保護法』を制定すべきである」と述べた。
同報告書はまた、中共がアメリカ国内で越境弾圧を行っていることも明らかにし、その中には神韻芸術団への脅迫や攻撃も含まれている。
法輪功学習者数十人死亡・数百人刑宣告の事例
CECCは法輪功関連サイト「明慧ネット」の報告を引用し、2025年に数十人の法輪功学習者が拘禁中に死亡し、数百人が刑を宣告されたと指摘した。報告書は複数の具体例も挙げている。
報告書によると、「中共は法輪功を弾圧・迫害するために膨大な資源と労力を投入し続けており、『中国刑法』第300条を根拠に学習者を拘束、起訴、裁判にかけている」という。
「明慧ネットは、拘禁中の虐待により死亡した学習者十数人の事例や、法輪功と関係があったとして刑を受けた数百人の事例を報告している」と記している。
報告書は、報告年度における一部の拘束事例を次のように紹介している。
2025年2月、河北省秦皇島市の法輪功学習者・左洪濤氏が獄中で死亡したと明慧ネットが報じた。左氏は法輪功への関与を理由に懲役13年の刑に服していた。2024年7月、重病となり河北省保定刑務所から一時入院したが、退院後すぐに再収監され、8月に死亡した。明慧ネットによれば、刑務所側が家族の遺体確認を拒否し、家族の同意なしに火葬したという。
また、国際人権NGO「権利捍衛ネットワーク」によると、陝西省咸陽市秦都区人民法院は、インターネット上で法輪功関連の情報を拡散したとして、食品検査員の高暁英氏に懲役7年を言い渡した。家族は幾度も面会を求めたが拒否された。2024年3月の公判前に短時間の面会が許可されたのみで、傍聴も禁じられたという。
2024年11月、明慧ネットは、広東省広州市海珠区人民法院が、80歳を超える高齢で膀胱がんや心臓疾患、糖尿病などの重い持病を抱える法輪功学習者の趙穎氏に懲役3年の実刑を言い渡したと伝えた。「権利捍衛ネットワーク」も趙氏が現在、獄中で生命の危機に瀕していると報告している。
中共の生体臓器収奪:良心囚人標的の実態
報告書は、中共が法輪功学習者などの「良心の囚人」から臓器を摘出していると断定している。
「(中共の)特に悪質な人権侵害の一つは、国家主導による臓器収奪である。この行為は法輪功学習者を主な標的として広く報告されており、最近ではウイグル族の人に対しても同様の報告がある」と指摘している。
「連邦議会に提出された証言や証拠には、中共が特定の民族、言語、宗教少数派の被拘留者から臓器を体系的に違法摘出しているという深刻な訴えが含まれており、これは人権および医療倫理を著しく侵害する行為である」と述べている。
報告書は、「アメリカ議会は『臓器強制収奪防止法(H.R.1503)』を可決し、国務省に対して臓器収奪問題に関する年次報告の対象を世界規模に拡大するとともに、臓器ツーリズムを抑止するための権限を付与すべきである。また、違法臓器取引を阻止し、関与者を摘発するための懸賞制度を設けるべきである」と提言している。
中共による拷問の蔓延
報告書は、中共が1988年に「拷問禁止条約(CAT)」に署名し履行を約束したにもかかわらず、キリスト教徒、法輪功学習者、ウイグル族、チベット族など宗教信仰者や人権弁護士に対して広く拷問を行っていると批判している。
「拷問禁止条約」は、拷問を「身体的または精神的に激しい苦痛を故意に与える行為」と定義している。
「拷問は中国国内で広く行われており、新疆ウイグル自治区の刑務所や各種拘留施設、さらに裁判前の拘留段階にも及んでいる」と報告書は指摘している。
拷問の対象は、政治犯、人権弁護士、宗教囚(キリスト教徒、法輪功学習者、「全能神教会」信者など)、およびウイグル族やチベット仏教徒などの少数民族であるとした。
黒監獄:法制教育センターの闇
CECCは、「いわゆる『黒監獄』とは、中共の官員またはその代理人によって人々が拘禁される非公式施設を指す」とし、こうした施設がしばしばホテルや研修センターなどの形を取っていると指摘した。
これらは「支援サービスセンター」や「法律教育センター」などの名称で運営されているが、法的根拠を持たない違法拘禁施設であるとした。
「元政府関係者によれば、陳情者の訴えの多くは解決されず、その多くが『黒監獄』に拘束されている」と報告書は述べた。
また、「被拘禁者の多くは陳情者や法輪功学習者であり、釈放時期も知らされず、法的手続きも一切保障されていない」と指摘している。
サリバン議員「中共に代償を払わせる」発言
「今年の報告書は、中国共産党が自国民と国際社会に対する約束を繰り返し破ってきた実態を示している」とサリバン議員は語った。
「北京は人権条約に署名し、香港とチベットに自治を与えると約束し、国際貿易ルールの順守を誓った。しかしその後、反体制派を投獄し、強制労働工場や違法漁業船団を運営し、さらにはアメリカ領内で工作員を派遣して他者を監視・脅迫している」と続けた。
サリバン議員はさらに、「本報告書は人権侵害の実態を示すだけでなく、議会・行政府・同盟国に対し、被害者と連帯し、労働者や供給網――特に漁業や海産業――を奴隷労働から保護する方法を提示している。中共の約束違反の代償を、アメリカ国民ではなく中共自身に支払わせるべきである」と強調した。
スミス議員「中共が国際秩序破壊」警鐘
スミス議員は「中共政権下の中国は覇権を追求し、自国民に対する暴政を他国にまで押し付けようとしている」と述べた。
「共産党によって支配され、党の利益のために存在する中国は、署名した条約を順守しないため、国際社会の責任ある一員とは言えない」と指摘した。
「したがって中共は、アメリカや自由世界諸国の単なる戦略的競争相手ではなく、第二次世界大戦後にアメリカが維持してきた安定した国際秩序そのものを破壊しようとする体系的な競争者である」と断じた。
「強奪的な重商主義を推し進め、強制労働を利用し、知的財産を窃取し、国有企業を巨額の補助金で支援する国家が、ルールに基づく国際体制の一員になれるはずがない。共産党が権力を独占する限り、それは不可能である」と述べた。
トッツィ氏「人道に反する政権」臓器法制定訴え
トッツィ氏は最新の人権年次報告について、「中共は一貫して自ら署名した条約を破っており、香港に関する『中英共同宣言』や『拷問禁止条約』、『国連海洋法条約』なども例外ではない」と指摘した。
「中共は人を単なる道具と見なし、異を唱える者を容赦なく踏み潰す人道に反する政権である」と述べた。
「中共の非人道性を最も象徴するのが、生体臓器収奪である」と強調した。
トッツィ氏は、「アメリカに続き他国も『法輪功保護法』や『臓器強制収奪防止法』を制定することが重要である」と訴えた。
「我々はこれらの法案の推進を続ける。他国が追随することが極めて重要である。なぜなら、歴史が裁き、天も裁くからである」と語った。