2月28日午前、米軍とイスラエル軍が共同でイランに対する奇襲攻撃を行い、最高指導者ハメネイ師の住居が爆撃を受けたとの情報がある (ATTA KENARE / AFP)

ロシアがイランの対米攻撃を支援か 中東戦争 水面下で激化 

複数の関係者は、アメリカとイスラエルによる対イラン攻撃を受け、ロシアが水面下でイランを支援していると明らかにしている。ロシアは中東に展開する米軍の位置情報をイランに提供し、米軍の指揮施設への攻撃を支援しているという。最近の攻撃では、イランによる米軍施設への攻撃精度が向上している。ロシアの衛星画像が利用されている可能性が指摘されている。

米紙ワシントン・ポストは独自報道で、3人の当局者の話を引用し、戦闘が2月28日に始まって以降、ロシアが米軍の軍事装備の位置情報をイランに提供してきたと伝えた。情報には軍艦や航空機の配置も含まれているという。

関係者は、ロシアの支援の具体的な規模を明らかにしていないものの、最近のアメリカの中東拠点への攻撃状況を見る限り、支援は「かなり広範囲に及んでいる可能性がある」と指摘している。

別の関係者によると、米軍による攻撃の影響で、イラン軍の米軍位置把握能力は一定程度低下している。また、イランが保有する軍用衛星は少数にとどまり、独自の衛星コンステレーションも持っていない。それにもかかわらず、イランは米軍基地や大使館、さらには民間地域に向けて数千機の自爆型ドローンと数百発のミサイルを発射している。

専門家は、攻撃のパターンから見て、ロシアが情報支援を提供している可能性が高いと指摘する。イランの攻撃対象には、米軍の指揮統制施設、レーダーシステム、さらには一時的な軍事拠点などが含まれている。最近の攻撃でクウェートで米兵6人が死亡した。

また、ここ数日の攻撃では、サウジアラビアの首都リヤドにあるアメリカ大使館のCIA拠点も攻撃を受けたという。

米カーネギー財団のロシア軍事アナリスト、ダラ・マシコット氏は、イランは「早期警戒レーダーや超地平線レーダーを極めて正確に攻撃しており、攻撃は指揮と統制機能を重点的に狙ったものだ」と指摘する。

同氏は、イランの軍用衛星が限られていることから、ロシアの高度な衛星画像は非常に価値が高いと分析する。特にロシア軍はウクライナ戦争を通じて攻撃能力を磨いてきたとみられている。

ハーバード大学ベルファー・センターのニコール・グラジェフスキ研究員は、イランの報復攻撃について、目標選定やアメリカおよび同盟国の防空能力を抑制する手法に高度な「複雑さ」が見られると指摘した。さらに、防空網を突破する能力も示しており、攻撃の精度は昨年夏にイスラエルと行われた12日間の戦闘より向上しているように見えるという。

では、なぜロシアはイランを支援しているのか。その背景には「報復」の側面がある。

ウクライナ戦争において、イランはロシアの主要な支援国の一つであり、低コストの自爆型ドローンの生産技術を提供してきた。これらのドローンはキエフの防空網を圧迫し、西側諸国がウクライナに供与した迎撃ミサイルの消耗を加速させたとされる。

事情に詳しい米政府関係者の一人は「ロシアは、アメリカがウクライナをどれほど支援しているかを十分理解している。だからこそ、報復を試みることに強い関心を持っている」と語った。

ワシントン・ポストは別の報道で、ロシアがアメリカとイランの長期的な衝突を自国にとって有利とみている可能性も指摘している。中東情勢の緊張が続けば、石油価格の上昇につながるほか、アメリカや欧州の関心がウクライナ戦争からそれる可能性があるためだ。

今回の報道内容について、ロシアの在米大使館、米国防総省、中央情報局はいずれもコメントを控えている。

関連記事
米国がイランへの軍事打撃を続ける中、中共が混乱に乗じて台湾へ侵攻するのではないかとの見方も出ている。しかし専門家は、その可能性は低いとみている。米軍の実戦能力や中国の軍備評価など、少なくとも四つの要因が背景にあると指摘
イランのスパイは3月4日、2024年にイラン当局の指示を受け、当時の共和党大統領候補だったトランプ氏の暗殺を試みようとしたと証言した
英メディアの報道によると、イスラエル軍は事前に幹部が休暇に入ったかのように装い、イラン側の警戒を緩めたうえで、最新型の「ブルー・スパロー・ミサイル」を用いて奇襲攻撃を実行したという
ハドソン研究所のジネブ・リブア研究員は、「壮絶な怒り作戦」が習近平と中共の戦略構想に多方面で深刻な打撃を与えたと指摘し、習近平は対応に追われ、中南海の指導部も足並みを乱している