北京の天安門広場で行われた軍事パレードに参加した核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル「DF-41」=2019年10月1日(Greg Baker/AFP/Getty Images)

米シンクタンク報告書 中共核戦力の管理体制を詳述 備蓄施設などに弱点

最近、米空軍大学の中国航空宇宙研究所(CASI)は、中国共産党のロケット軍による核弾頭管理の実態を分析した詳細な特別報告書を公表した。報告書では、核弾頭の保管や警備、試験、輸送の仕組みを公開情報から追跡し、管理体制の弱点も指摘している。専門家は、世界情勢が不安定化する中でトランプ大統領の訪中を控えていることを踏まえ、米国側が情報公開を通じて中共に圧力をかける「認知戦」を展開している可能性があると分析している。

3月9日に発表された報告書では、ロケット軍の核弾頭が陝西省の秦嶺山脈奥地にある中央備蓄庫から各地の作戦基地へ輸送され、さらにミサイル旅団や部隊へ配分される経路を追跡した。弾頭を「誰が管理し、どこに保管し、どのように輸送するのか」といった敏感な問題に踏み込み、緊急事態における対応メカニズムも分析している。

報告書ではまた、中共の核兵器管理に関する3つの弱点を挙げている。

第1に、核兵器の備蓄が単一の大型施設に大きく依存しており、リスクが集中している点。

第2に、施設周辺のインフラが脆弱で、しばしば狭い単一路線の通路に依存しているため、封鎖されれば輸送が容易に麻痺する可能性がある点。

第3に、兵士の健康データなどの周辺情報を基に、保管手続きの中に長年の組織的混乱や安全管理の緩みが存在する可能性が示唆されている点だ。

中国航空宇宙研究所は2022年10月にもロケット軍に関する報告書を発表し、基地の座標や部隊番号、指揮官の氏名などを詳細に列挙した。この報告書は中国語圏で大きな議論を呼び、ロケット軍のその後の人事異動と関連があるとの見方も出ている。ロケット軍では司令官3人を含む複数の副司令官や装備部長、政治委員、さらに中央軍事委員会装備発展部の高官らが調査を受けたり解任されたりしている。

専門家は、米国とイスラエルがイランに対して軍事行動を行ったことや、トランプ氏の訪中が近づいていることを背景に、米軍が今回の報告書を公表したのは中共に対する戦略的抑止を示す狙いがあると指摘する。

台湾の国防安全研究院の副研究員、謝沛学氏は大紀元の取材に対し、「米軍が把握している情報の深さは外部の想像を大きく超えている可能性がある」と指摘した。地下施設の構造図や特定の指揮官の個人的な習慣など、より核心的な情報を握っている可能性もあるという。

謝氏は、核兵器の管理は中共にとって最後の「切り札」であり、それを公開情報の形で示すことは「米国が中国の核兵器庫の状況を詳細に把握している」というメッセージになると説明する。この種の抑止は単なる破壊能力だけでなく、相手の自信を砕く効果もあるとみられる。

また、この報告書によって中共は輸送ルートや防衛手順の見直しを迫られ、より多くの資源を投入せざるを得なくなる可能性がある。さらに中共指導部、とりわけ習近平が内部の安全管理や情報漏洩の可能性を懸念し、軍への不信感を強める要因になるとの見方も示されている。

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