元首相 温家宝が大々的に姿見せ 二つの権力中枢の暗闘が表面化
中国共産党(中共)元首相の温家宝が今週、中国科学院地理科学・資源研究所を視察した。この動きは異例ともいえるほど大きく扱われ、まず写真が出回り、その後に動画も公開された。映像には、中央軍事委員会統合参謀部の軍用車が護衛する様子も映っている。時事評論家の唐靖遠氏は、今回の視察について、単に温家宝が軟禁されているとの憶測を打ち消すためだけではなく、習近平に張り合う可能性を指摘した。さらに、中共上層部での激しい権力闘争と、二つの権力中枢が対峙する構図が浮き彫りになったと分析している。
ネット番組「靖遠開講」の司会を務める唐靖遠氏によると、習近平も少し前に雄安新区に姿を見せ、存在感を示していた。一方、北京地質学院出身の温家宝が今回、中国科学院地理研究所を大々的に視察したことについて、唐氏は、温家宝に関する軟禁説を打ち消すためだけでなく、「習近平と張り合う意図がある」との見方を示した。
唐氏は番組の中で、「要するに習近平と張り合おうとしているということだ。つまり、相手と優劣を争うという意味で、車で相手に幅寄せするようなものに近い」と語った。
さらに唐氏は、今回の一連の流れについて、まず写真が出回り、その後に動画を公開した点に注目した。しかも、温家宝は研究所を出た際、待ち構えていた人々に向かって手を振っており、こうした場面はあらかじめ手配している可能性が高く、明らかに宣伝色を帯びている。
唐氏は、「写真を先に出し、その後に動画を出す流れは偶然ではない。これは中共の宣伝部門が世論を誘導し、話題を盛り上げる際によく使う典型的なやり方だ」と指摘した。
また唐氏は、習近平が近年、「元老による政治介入」を強く警戒してきた点にも触れた。本来であれば、温家宝のような長老がこれほど目立つ形で公の場に姿を見せることは、習近平体制の下では認めないはずだ。にもかかわらず、今回は写真だけでなく動画の公開も抑えられていない現状は、高層部の権力構造が極めて不安定であることを示唆している。
唐氏は、「これは、習近平が温家宝を抑え込めていないことを示している。もし本当に習近平が絶対的な権力を握り、唯一の権力中心であるのなら、温家宝がこのように中国科学院を視察することを許すはずがない」と述べた。
このほか、一部のネットユーザーは、今回の温家宝の外出が依然として「正国級(国家指導者クラス)」の待遇で行われたことにも注目している。現場では、中央軍事委員会統合参謀部の「VA」ナンバーを付けた軍用車両が警護に当たっていた。
唐氏は、こうした警護体制の背後には、中共内部で二つの権力中枢が対峙する構図があると考えている。「張又俠が失脚して以降、中共内部では分裂が進んでいる。習近平を中心とする中枢と、温家宝を筆頭に劉源らを含むもう一つの勢力が対峙している構図だ」と述べた。
さらに、「温家宝の警護に当たっているのは習近平側の中央警衛局ではなく、軍の系統、すなわち中央軍事委員会統合参謀部の側だ」との見方を示した。
最後に唐氏は、今回の動きが単なるデマの打ち消しであれば、温家宝がこれほど大々的な形で表に出る必要はなかったと強調した。今回の一件は、中共の政治構図に何らかの変化が生じていることをうかがわせるものだと述べた。
唐氏は、「中共上層部では、すでに何かが起きている可能性がある。温家宝が何の意図もなく、これほど目立つ形で姿を見せるはずがないからだ」と指摘した。