中共 台湾海峡への圧力強化 「外交青書」で日中関係を格下げ
中東で戦火が広がる中、台湾海峡情勢も緊張を増している。報道によると、アメリカが一部の軍事力と戦略の重点を中東に移す中、中国共産党(中共)政権はこの機に乗じて対台湾圧力を強め、軍事と世論の両面から揺さぶりをかけることで、台湾社会の不安をあおろうとしているという。一方、専門家は、中共が進める認知戦と軍事的圧力を組み合わせた動きについて、効果は限定的である可能性が高いとみている。
報道によると、中共は中東情勢を対外プロパガンダに利用し、対台湾の認知戦を拡大している。とりわけ「アメリカ製兵器は信頼できない」との宣伝を強め、台湾の対米安全保障協力への信頼を損なおうとしているが、こうした主張は事実と大きく食い違っていると指摘されている。
軍事チャンネル「マーク時空」の司会者マーク氏は「米軍がベネズエラやイランに対して行った軍事行動の結果を見れば、中国製兵器とアメリカ製兵器の差は極めて大きい。米軍の技術的優位は比類のないものだ。こうした主張はまったくのでたらめで、中共を後押しする宣伝にすぎない」と見ている。
台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、中共が認知戦を通じて、アメリカは複数の戦線に同時対応できないとの印象を意図的に広げ、それによって台湾の対米安全保障協力への信頼を揺るがそうとしていると指摘した。
沈氏は「実際には、インド太平洋地域の任務に投入されている海軍や空軍の戦力に移動はない。グアムやハワイに駐留する海空軍にも動きは見られない。アメリカはもともとインド太平洋問題を極めて重視しており、軽々に戦力を動かすことはない。また、対イラン戦では主に海空軍を用いており、泥沼化している状況でもない。そのため、アメリカが対応に窮しているとの見方は当たらない」と説明した。
一方、マーク氏は、外部が中共の対台湾行動を「認知戦と軍事的威圧を連動させた圧力強化」と受け止めていること自体が、北京の実際の能力を過大評価している可能性があると分析している。近年の中共は内政・外交の両面で問題を抱えており、対外的に軍事力を行使する条件は限られているという。
マーク氏は「国内では景気の悪化に直面し、軍内部では指揮系統の混乱があり、多くの将軍が粛清されている。私は中共にそのような作戦能力はないと思う」と述べた。その上、「アメリカも、『2027年に習近平が台湾に侵攻する』という見方をすでに撤回しており、その可能性はほとんどないとみている。だから今出ているこうした話は、しょせん対外宣伝にすぎない」と指摘した。
報道によると、中共は3月14日以降、台湾周辺で比較的大規模な軍用機の活動を再開した。
匿名の台湾高官は、「中共は、アメリカが兵力と関心をインド太平洋から中東へ移すのであれば、その機に乗じて緊張と不安定をあおろうとしている」と語った。
これに対し台湾国防部は、顧立雄国防部長の今月の発言を引用し、「中共は武力による台湾統一を一度も放棄したことがない」と強調した。
また、台湾の蕭美琴副総統は中共の脅威を改めて指摘した。蕭氏は3月25日、オンラインでアメリカの「キャピトルヒル・シリコンバレー・フォーラム」の年次シンポジウムに出席した。
演説の中で、蕭氏は台湾が長年にわたり、中共から海空域、サイバー空間、情報戦、さらには経済的圧力に至るまで、各方面で圧力を受け続けてきたと訴えた。これは作り話ではなく、台湾が日々直面している現実だと強調した。
そのうえで、台湾は中共の脅威に対し断固とした措置を講じており、防衛費を継続的に増額しているほか、非対称戦力、自律型プラットフォーム、後方支援、強靭性の強化に戦略的焦点を絞っていると説明した。
一方、日本の2026年版「外交青書」では、日中関係の表記を従来の「最も重要な二国間関係の一つ」から「重要な隣国」へと変化した。これを日中関係の格下げと受け止める見方も出ている。
日本の外交政策の変化は、昨年11月に高市早苗首相が国会で「台湾有事」に言及して以降、日中関係が悪化を続け、経済摩擦と安全保障上の緊張が強まっている現状を映し出している。
青書では、この1年間に日中間で生じた一連の対立として、中共による軍民両用物資の輸出規制、日本の自衛隊機に対するレーダー照射、台湾周辺での圧力強化、さらに台湾問題をめぐる高市氏への圧力などが挙げられている。
台湾国立台湾師範大学東アジア学科の林賢参客員教授は、「日本政府としては、今回の外交青書を通じて、中共との関係を従来ほど重視しない姿勢を示そうとしている。中共に対し、これ以上行き過ぎるべきではないと伝え、最終的に双方が大きな損失を被る事態を避けたい考えだ」と考えている。
青書はまた、中共が国連などの場で日本への批判を強めていると指摘し、自国の立場をより積極的に発信すると同時に、中共の情報戦への対応を強化する必要があるとしている。
4月に公表予定のこの青書は、日本はトランプ政権との間で強固な信頼関係の構築に努め、日米関係をさらに深化させると記しており、関税合意を着実に履行することで、相互の成長と経済安全保障の強化につなげる考えを示している。