国民党党首の訪中に波紋 対台湾武器売却への影響懸念
台湾国民党の鄭麗文主席が4月7日、南京に到着し、「両岸平和の旅」を開始した。これを受け、台湾大陸委員会は直ちに声明を発表し、国家主権と尊厳を犠牲にしてまで中国との交流を図ることに反対するとしたうえで、鄭氏に対し、中国共産党(中共)による台湾併吞の企てを直視し、中共の対台湾統一戦線工作に利用されないよう求めた。
鄭麗文氏は、9日午後に上海から北京へ向かい、10日に習と会談する見通しだ。今回の訪中は各方面の強い関心と議論を呼んでいる。
台湾大陸委員会は声明を出し、国家主権と尊厳を損ない、それと引き換えに訪中の機会を得るようなやり方に反対すると強調した。そのうえで鄭氏に対し、中共による台湾併吞の野心を厳しく受け止め、中共が台湾に対して進める統一戦線工作や分断工作の道具になってはならないと呼びかけた。
台湾大陸委員会の邱垂正主任委員は、「われわれは中共当局に対しても、敵対的な考え方や統一戦線工作を捨て去るよう求める。台湾の民選による合法政府と対話し意思疎通を図ってこそ、両岸関係の改善と健全な交流の可能性が開かれる」と述べた。
邱氏はまた、鄭氏に対し、中共側に次の3つの要求を直接伝えるよう求めた。すなわち、軍用機や軍艦による台湾への挑発行為を直ちに停止すること、中華民国の存在という事実を認めること、そして台湾人の意向を尊重することである。
一方、北京の狙いはあくまで台湾の併吞にあり、こうした交流も時間を稼ぐための戦術にすぎないとの見方が出ている。
時事評論家の盛雪氏は、「特に習近平が政権を握って以降、台湾の国際的な活動空間への圧力や、台湾に対する絶え間ない軍事的威嚇が続いてきた。そのため台湾では、多くの人がすでに、中共のような独裁的な暴政に対して、単に対話や交流だけではほとんど効果がないことに気づいている。中共の目的は極めて単純で、台湾を併吞することにある。どのような方法を取っても、結局は中共に時間を与えるだけだ」と指摘した。
鄭氏の中国訪問をめぐっては、台湾メディアの世論調査で91.4%が支持しないと答えた。
時事評論家の李林一氏は、「今回の鄭麗文氏の訪中は、大きな論議を呼んでいる。3月の世論調査でも、鄭氏と習近平との会談は利益よりも弊害の方が大きいとの結果が出ている。これは台湾の世論が、この会談を望んでいないことを示している」と述べた。
一方、台湾政府は、中共がアメリカに対し、台湾への武器売却停止を求める可能性があると警告している。米中首脳会談を前に鄭氏を招いたのは、米側にメッセージを送り、対台湾武器売却や地域の安全保障をめぐる交渉の余地に影響を及ぼそうとする狙いがあるとの見方も出ている。
李林一氏は、「中共側は、鄭麗文氏を通じて、台湾の国防関連法案を引き続き阻もうとし、台湾が米国からたくさんの武器を購入できないようにしたい可能性がある。これが実際に成功するかどうかは、鄭氏が台湾に戻った後、立法院(国会)で(国防法案への)反対姿勢をこれまで以上に強めるかどうかを見れば分かる」と指摘した。