博田国際病院の肝胆膵・消化器内科主任医師である呉宗勤医師は、日頃から外来で代謝性疾患の患者を診療しています。しかし35歳のとき、自身の健康診断の結果を見て、大きな衝撃を受けました。
低比重リポタンパクコレステロール(悪玉コレステロール)が著しく基準値を上回り、一時は190mg/dLに達していたのです。健康な人では100mg/dL程度が目安とされています。さらに、親族のうち2人が70歳になる前に心筋梗塞で亡くなっており、父親にも高血圧と高脂血症がありました。そのため、自身の脂質異常は、単なる「脂っこいものの食べ過ぎ」が原因ではないことに気づいたといいます。
「遺伝子の影響力は、後天的な努力を上回ります」と、呉宗勤医師は新唐人テレビの番組『健康1+1』で語りました。
40歳を過ぎてからは、降圧薬と脂質低下薬の服用を始めました。近年では15%の減量に成功し、血圧は正常値まで改善しましたが、血中脂質は依然として低用量の薬でコントロールする必要があります。
しかし呉医師は、「薬を飲むこと」と「食生活に気を付けること」は、どちらも欠かせないと強調します。「体重が86〜87kgあった頃は、薬を服用していても血中脂質を十分にコントロールできませんでした。また、肝機能の数値がやや上昇したり、筋肉痛などの副作用が出たりすることもありました。15%減量した後は血圧が正常に戻り、高脂血症も最低用量の薬だけで維持できるようになりました」
卵黄より控えるべき3種類の食品
遺伝性の高脂血症がある人は、どのように食事を管理すればよいのでしょうか。多くの人は、まず卵黄や魚介類など、コレステロールを多く含む食品を控えるべきだと考えます。しかし呉医師は、本当に注意すべきなのは食事全体の内容であり、特にトランス脂肪酸、飽和脂肪酸の多い加工肉、大量の精製糖だと指摘しています。
呉医師自身も、ほとんど口にしない、あるいは避けている食品を挙げています。
第一はトランス脂肪酸です。コーヒークリーマー、パイ生地を使った菓子、マーガリンなどがこれに当たります。トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やす一方で、血管を保護する善玉コレステロールを減らすため、心血管に最も悪影響を及ぼす脂肪の一つとされています。
第二は、飽和脂肪酸を多く含む加工肉です。ベーコン、ソーセージ、肉団子、豚バラ肉などが代表的です。
第三は、加糖飲料やスイーツです。大量の糖分、とりわけ果糖を多く含む食事は肝臓への負担を増やし、中性脂肪の増加や脂肪肝などの代謝異常と関係しています。
魚介類は食べる部位を選びましょう
コレステロールを多く含む食品について、呉医師は「卵黄やエビ、ハマグリなどを一律に避ける必要はありません」と話します。卵黄にはコレステロールだけでなく、レシチンやさまざまな栄養素も含まれています。
また、エビやハマグリなどの魚介類については、「どの部位を食べるか」と「どのように調理するか」が重要です。魚介類のコレステロールは、主に頭部、卵、内臓に集中しています。そのため、エビの身やハマグリの身、イカの身などを選び、揚げ物や衣を付ける調理法、濃い味付けを避ければ、良質で低脂肪なタンパク質源となります。
外食では「油を減らす・素材を選ぶ・割合を考える」
高脂血症の人は、家庭での食事だけでなく、外食時にも注意が必要です。呉医師は、「油を減らす・素材本来の食品を選ぶ・食事の割合を考える」というシンプルな原則を勧めています。つまり、主菜では揚げ物や脂身の多い肉を避け、できるだけ自然な食材を選び、野菜を多めに、ご飯を少なめにするということです。
一方で呉医師は、「健康的な食事とは、おいしいものを一切食べられないという意味ではありません」とも話しています。平日の勤務中は、焼き魚や煮た鶏もも肉の弁当など、比較的シンプルな食事を選び、ご飯を少なめにし、追加のソースも使わず、脂質や精製炭水化物の摂取を控えるよう心掛けています。
週末に家族と食事をする際には、ある程度楽しむようにしており、時には焼き肉や台湾風フライドチキンを食べたり、家族や友人と軽くお酒を飲んだりすることもあります。
「私たちの体には、本来かなりの柔軟性があります。どのような食べ物でも、少量であれば問題ありません。大切なのは、食べ過ぎないことです」と呉医師は強調しています。
オートミールには効果がありますが、薬ほどではありません
「オートミールを食べると、本当にコレステロールが下がるのですか」と、よく質問されます。
呉医師は、「確かに効果はあります。ただし、下がる割合はそれほど大きくありません」と答えています。オートミールに含まれるβ-グルカンは、水溶性食物繊維の一種です。腸内でゼリー状になり、胆汁酸と結合して便とともに排出されます。胆汁酸はコレステロールから作られるため、胆汁酸の排出量が増えると、肝臓は新たな胆汁酸を作るために血液中のLDLコレステロールを取り込むようになります。その結果、血中コレステロールがわずかに低下します。
『アメリカ臨床栄養学誌』に掲載されたメタアナリシスでは、1日3g以上のオート麦由来β-グルカン(オートミール約60g以上に相当)を摂取すると、LDLコレステロールと総コレステロールがわずかに低下することが示されました。ただし、製品によってβ-グルカンの含有量は異なるため、「オートミール60gを食べれば、必ずβ-グルカンを3g摂取できる」とは限りません。
呉医師は、オートミールの加工方法にも注意が必要だと話します。「オートミールはあまりおいしくないと感じて、オーツミルクを飲んだり、さまざまな加工オートミール食品を食べたりする人がいます。しかし、こうした製品には多くの場合、砂糖やさまざまな添加物が含まれています。加工を重ねることで本来の健康効果が薄れ、摂取カロリーも増えてしまいます」
脂質低下薬は、飲み始めたら一生やめられないのでしょうか
多くの人が最も心配するのは、「脂質低下薬は、一度飲み始めたら一生やめられないのではないか」ということです。呉医師は、「これは依存の問題ではなく、遺伝的な体質の問題です」と説明しています。薬を服用している間はリスクを抑えることができますが、遺伝的要因や病気そのものが残っている場合、服用を中止すると数値が元に戻る可能性があります。
呉医師は、次のようにも注意を促しています。「自己判断で脂質低下薬を中止すべきではない人もいます。例えば、心筋梗塞や脳卒中を経験した人、糖尿病や腎疾患がある人、家族に心血管疾患の既往がある人などは、通常、服薬の中止は勧められません」
アメリカ心臓協会の脂質異常症管理ガイドラインでは、コレステロールの管理目標はリスク分類と結び付けられています。極めてリスクの高い動脈硬化性心血管疾患の患者では、LDLコレステロールの目標値は55mg/dL未満です。また、心血管疾患の既往はあるものの、極めて高いリスクには該当しない患者では、70mg/dL未満が目標とされています。こうした目標値は自己判断で適用するものではなく、病歴や検査結果、服薬によるリスクなどを踏まえて、医師が判断すべきです。
フィッシュオイルや紅麹は薬の代わりになりますか
薬の代わりに、フィッシュオイルや紅麹でコレステロールを下げたいと考える人も少なくありません。呉医師によると、フィッシュオイルには主に中性脂肪を下げる働きがあり、コレステロールを低下させる作用は限定的です。
一方、紅麹製品の一部にはモナコリンKが含まれており、その作用はスタチン系脂質低下薬と似ています。肝臓でのコレステロール合成を抑える働きがあります。
では、呉医師自身は、こうした健康食品を利用しているのでしょうか。その答えは、「いいえ。薬を飲んだ方が早いです」でした。
研究では、悪玉コレステロールを下げる目的において、低用量のスタチン系薬剤は、フィッシュオイル、紅麹、ウコン、ニンニク、シナモンなどの一般的な健康食品よりも、明らかに高い効果を示しています。
高脂血症は自覚症状がありませんが、リスクの高い病気です
呉医師は、「高脂血症の怖いところは、多くの人が普段まったく症状を感じないことです」と指摘しています。「多くの人は、最初の発症が急性心筋梗塞や突然死なのです」
特に遺伝性高脂血症の人では、血管が高コレステロールの状態にさらされる期間が、一般の人より長くなります。そのため、家族歴がある人は、できるだけ早く血液検査を受けることが大切です。
(翻訳編集 解問)
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