上海住宅市場の暴落、価格と価値に深刻な乖離

【大紀元日本6月23日】ある地区の住宅価格が真に合理的であるかを測るためには、当該地区における住民の収入と比較しなければならない。一般的に、住宅価格と収入の正常な比率は3~5倍であるが、上海における比率は7~8倍となっている。

「経済時報」の報道によると、上海における住宅の需給関係は非常に歪んでいる。住宅価格は国際的な大都市のレベルにまで達しているが、住民の収入は依然として途上国の水準である。

上海のある不動産事業者は「不動産市場は本来取引市場であるべきだが、現在はこれが賭博場に変貌してしまった」と話す。住宅価格が高騰の一途をたどり、買い漁り、予約番号の投機といった現象が発生したが、これらは全て極めて非理性的な市場の現れであり、価値と価格との間に深刻な乖離が生じているのである。

上海の土地資源が不足している中でその取引額が上記のような比率に達しているのは、明らかに正常ではない。

不動産市場における三大投資先は、住宅、店舗、オフィスビルであった。しかし、2003年以後、投資家は投機の重点を住宅に置く傾向が顕著になり、ひいては住宅価格がオフィスビルの価格を上回るという異常な現象が発生した。

スイス・クレディ・ファース・トボストンの主席アナリストである陶冬氏の発表した最新の研究報告によると、上海の不動産リスクは現在急速に増大しており、今後一年以内に、6、7割の可能性で30%の価格下落が発生するという。

現在、上海は典型的な不動産の初期調整の段階に入っており、価格の僅かな下落と取引量の急減が起こっている。第二期における調整の特徴は、価格の猛烈な下落と取引量の更なる拡大である。

陶冬氏は次のように指摘している。「我々は、第二期の調整を触発する事件が2つ発生し得ると考えている。一つは、中国政府が人民元の調整への準備のために国際ホットマネーを制限することであり、二つ目が企業、銀行のディベロッパーへの融資に対して検査が行われることにより、ディベロッパーの資金チェーンが断絶することである」。

今年の上半期、大陸政府は分譲住宅に対して「国八条」の措置を実施した。この措置により、上海の分譲住宅価格は既に大幅に下落し、下げ幅は20%~30%に達しており、一部の郊外地区においては40%に達している。住宅価格の上げ幅が最大であった上海、北京、広州等の地においては、価格調整の幅も最大になることが予想される。

しかし、中央の不動産新政策による調整に直面し、上海の不動産ディベロッパーは冒険を望まず、販売の据置き、売り惜しみを行いつつ、様子見をしながら住宅市場の回復を待っている。

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