中国共産党とのコネを重視する「鳳凰衛視」総裁
【大紀元日本10月12日】香港に拠点を置く衛星テレビ局・鳳凰衛視(フェニックステレビ)は、中国で唯一の新聞報道権を持つ民営放送局である。ワシントンポストが9月19日に発表した、「綱渡りする」と題した報道の中で、鳳凰衛視の総裁・劉長楽氏がいかに中国共産党とコネを作り、党の高層部と密接な関係を維持しているのかを披露した。
2年前、香港で「二十三条立法」をめぐって賛成派、反対派がデモなどを繰り広げていた頃のことである。香港の英語テレビ局のニュースでは反対意見の報道が目立ってはいたが、一応両者の意見を伝えていた。一方、日本でもCSで放送されている中国語の放送局の一つである鳳凰衛視は、ひたすら中国共産党の立場である「二十三条立法賛成」の人たちの意見を流し続けた。採決予定日前の数日間も、反対派のデモは一切報道せず、賛成派のデモだけを放映した。
ワシントンポストの報道によると、このような報道立場を取る鳳凰衛視の劉総裁は、中国共産党指導者と密接な関係を持っているという。
劉総裁は、中央電視台(中国の国営放送、CCTV)製作の_deng_小平記録番組という、非常に敏感なテーマの番組制作に投資し、番組製作者の一人として名を連ねている。このことからも彼が中共の指導者らに信用されていたことがわかる。また劉総裁はこの良好な関係を保ち、自らが共産党に反対しないという姿勢を示す一環として、1995年に設立した鳳凰衛視の株式の10%を中央電視台に贈呈した。
劉総裁は前中国国家主席・楊尚昆氏と非常に親密だったという。当時、中央電視台在職中、天安門広場にいた学生らを6月4日に人民解放軍が武力鎮圧したことについて、客観的に報道したとして逮捕、投獄された経験を持つ、呉暁ヨン(金へんに庸)氏の釈放のため、劉総裁は北京へ赴き、当時の楊尚昆国家主席を説得したという。
しかし、劉総裁が逮捕された友人を助けるといっても、逮捕状を出したその政府には絶対に刃向かわない。彼は政府官僚らと良い関係を維持し、膨大な利益を獲得し、90年代には中国の富豪の一人となった。80年代後半、劉総裁はただの軍隊の上佐であった。彼が驚くほどの速さで昇進した謎の背景には、政府、正確に言うと、国家安全部による援助があったという説があるという。
ワシントンポスト紙は他にも、鳳凰衛視が中国共産党に迎合して各省の経済発展を誇張する番組や、法輪功を非難する番組を製作したことを伝えている。このような同局の活動について、「(鳳凰衛視は)中央電視台より巧みな宣伝製作を通じて、中国共産党の政権維持を支援しているに過ぎない」と分析する人もいる。
しかし、これだけ中国共産党と密接な関係を持つ劉総裁率いる鳳凰衛視も、中国共産党にとって敏感な事件の扱いについては、やはり慎重にならざるを得ないようである。
趙紫陽氏死去について中国共産党が報道管制を敷き、中国国内では一切報道されなかった頃、鳳凰衛視はその日の夜のニュースで訃報を伝え、これをきっかけに政治改革に関する議論が始まるとの評論を放送した。すると、中国共産党の省政府はすぐに中国国内における同局の中継を中断した。
当日パリにいた劉総裁は、中国共産党の対応を知るとすぐに引き返し、趙紫陽に関する報道を中止させ、中国共産党の怒りを鎮めるために東奔西走した。鳳凰衛視の報道はまさに綱渡りだと、劉総裁自身も言っている。「我々がもし中国共産党の希望通りの報道をすれば視聴者は(鳳凰衛視を)蔑視する。逆に、もし我々が完全に民意に沿った報道をすれば、中国共産党は我が社をつぶしてしまうに違いない」。