WHO、中国の鳥インフルエンザ再発に警戒

【大紀元日本10月22日】中国の内モンゴル自治区フフホト市の農場で鳥インフルエンザの再発が19日確認され、鶏2600羽が処分されたことが明らかになった。これに対し、世界保健機構(WHO)は警戒を強めている。渡り鳥が伝播源とみられる鳥インフルエンザはすでにヨーロッパまで蔓延し、専門家らは中国当局の情報公開に疑問を抱き、第二のSARS事件になることを懸念している。

中国当局関係者は取材拒否

今回フフホト市の賽罕区巴彦鎮騰家営村で発生した鳥インフルエンザについて、WHOの駐北京スポークスマンは、いかなる新しい感染例も人類への感染に繋がる恐れがあると述べ、高い関心を示した。

中国衛生部は今回の事件についてまだ正式なコメントを出していない。中国当局は情報公開を許諾したが、内モングル自治区の政府関係者が取材を拒否している。中国国内の大半の新聞は、鳥インフルエンザの再発を報道したが、中国国営新華社通信の報道を転載したものが殆どである。感染時期や感染した鳥の種類などの事項に触れておらず、情報が操縦されているのではないかと人々に連想させている。

渡り鳥によって、H5N1ウイルスは世界各地に拡散

今年5月、中国青海省で大量の渡り鳥が鳥インフルエンザに感染し死亡したことがWHO職員により確認され、後に感染源は病毒性の強いH5N1ウイルスであることが判明した。その後、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省などの各地で感染が相次ぎ発生したため、WHOは発生地の視察を求めたが、当局に拒否された。感染した渡り鳥が世界各地にウイルスを拡散するのを防ぐため、WHOは中国当局に早急かつ万全な対応を要求した。しかし、当局は十分な対策取らずに、8月に撲滅宣言した。当時、香港大学微生物学科の管軼副教授は英科学誌「ネーチャー」で、青海の鳥インフルエンザは、世界に危険をもたらす可能性を警告したため、国家機密を漏洩したとされ、中国当局から糾弾された。

現在、ロシアやトルコ、イラン、ギリシャ、ブルガリア、ルーマニアなどの各国で相次ぎ発生している鳥インフルエンザは、渡り鳥が伝播源と見られ、ほとんどの国ではH5N1ウイルスによる感染がすでに確認された。感染は西側に拡大する傾向が見られている。EU各国は各種の緊急対策を打ち出し、感染撲滅のための国際協力を呼びかけている。

国連食糧農業機関(FAO)の職員は、渡り鳥の移動による中東や、アフリカ東部と北部へのウイルス拡散を憂慮している。

人への感染が心配されている

専門家らは、H5N1ウイルスが突然変異を起こし、人の間で伝染することを最も恐れている。1918年に発生したスペイン風邪では、全世界で約4000万人の命を奪った。最近、米国の研究者はスペイン風邪ウイルスの複製に成功し、分析した結果、驚くほどH5N1ウイルスに似ていることが判明した。すなわち、スペイン風邪の発生原因は鳥インフルエンザウイルスの突然変異との可能性はあるという。

2003年12月から、確認されただけで、アジアではすでに60人以上は鳥インフルエンザに感染死した、そのうちベトナムは41人、タイは13人、インドネシアは4人。こうした中で、中国当局は再三に鳥インフルエンザ感染が抑制されたと表明していたが、一方で国際機構による視察や、メディア取材を拒否し続けている、専門家の間では、2002年のSARS事件の再来を懸念する声が上がっている。

(大紀元記者・尚善)
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