『北京の春』編集長・胡平氏、汕尾発砲事件を分析

【大紀元日本12月13日】6日夜、広東省汕尾市において武装警察・機動隊数千人が、戦車と機関銃を用い、東洲鎮の村民に対して発砲、国内外を驚かせた。当局が情報を封鎖しているため、死傷者の人数については、現在のところ不明確のままである。ある目撃者の話によると、殺害された者は少なくとも十数人、負傷、失踪者は数十人に上るという。別の村民によると、殺害されたのは70人余りだという。

この衝突事件の発端は、汕尾市当局が紅海湾東洲鎮に発電所を建設し、土地を強制収用したが、村民に対して相当の補償をしなかったことにある。以下、《北京之春》編集長・胡平氏が、大紀元の取材を受けた際、汕尾発砲鎮圧事件を分析した。

したい放題の汚職がもたらした衝突

今回、汕尾において発生した流血事件は世間をぞっとさせるものであったが、この事件は、中共が経済改革、発展、建設の名を借りて公開で行ってきた掠奪が狂気の域に達したことを示している。中国の他の地方においても同じ性質の事件が発生しており、汕尾事件は、このうちで最も悪劣な事件の一つに過ぎない。

官民が衝突する事件の多くは、土地の強制収用が引き起こしたものであり、根本的な原因は、こうした土地が、本来は人民全体に属するものであるが、実際のところは少数の官員によって掌握されており、彼らが様々な取引をする際に、当地農民の意見を全く考慮しないことである。

大規模な土地収用の現象について、中央政府は当然、これを表面上の文章に表すことはできない。彼らは、一定の規定を作り、農民に一定の補償をしようとしているが、地方政府はこれらの規定に全く耳を貸さず、したい放題の汚職をしており、これが、激しい衝突を引き起こしている。

中央に根本的な処理は不可能

汕尾東洲鎮の土地紛争は、既に数ヶ月に渡って続いてきた。当初、農民は、上層部に状況を伝えたが、成果は上がらないままであった。これもまた、中央政府は農民の声を知らなかったわけではなく、これを全て無視し、地方政府が悪の限りを尽くすに任せていたことを示している。

地方政府がこうした行為を行うのは、一部を見直せば全体に波及することから、上層部は真に行動することができず、見て見ぬふりをする態度をとることを確信しているからである。太石村事件のように、“太石村の帳簿検査を認めれば、他の地方の帳簿検査はどうなるのか?” 番禺区政府のこの言葉は、上層部がいかに問題の解決を考えていても行動できないことを示している。

太石村の事件から数ヶ月が過ぎたが、最低限の問題も全く解決されておらず、上層部の懸念と負担がいかに重いかを示している。なぜなら、こうした問題が随所に存在しており、かつ、彼ら自身も潔白ではないことから、彼らはこうした問題について手の施しようがないのである。

しかし、今回の汕尾事件においては発砲があり、村民が殺害され、国際社会も関心を払っている。当局が全く説明をしないで済ますことは非常に困難であり、将来、過度の行為に出た一部の官員に対して一定の処理がなされる可能性が高い。しかし、確かなのは、中央が根本的な処理を行うのは不可能であるということである。なぜなら、彼らが恐れているのは、民衆が集団で抗争を行う能力であることから、官僚同士がお互いに庇いあうのである。この一点において、中央政府と地方政府は一致している。

上が行い、下が真似る 6・4鎮圧事件の継続

もう一つ、私の見解では、今回の鎮圧もまた、6・4四鎮圧事件(天安門事件)の継続であるということである。地方政府が、現代兵器を用いて平和の請願を行う民衆を鎮圧することを非難する人が本当に中央にいるならば、地方の官員は、次のように反論するであろう:あなたたちは、6・4事件でこのようにしたのではないですか?上が行い、下が真似る、だから、6・4鎮圧事件は、非常に悪劣な事例であり、悪劣な遺産なのである。その後十数年、江・朱であれ、胡・温であれ、なおも6・4事件における殺人を擁護しており、このために、以後も同様の事件が発生することは避け難いものとなっている。

国際社会に真相を知らせるべき

最近、こうした衝突事件が頻繁に発生しており、中国における社会矛盾がいかに先鋭化しており、中共のいわゆる改革がいかに悪劣な性質のものとなっているかが伺われる。今回の大紀元の行動は非常に好ましいことであり、汕尾市の事情について、大量の報道をタイムリーに行った。私は、国際社会に真相を知らせることが非常に重要であると考えており、このように、極めて悪劣な事件を見て見ぬふりをし、聞き流すことはできない。

現在、国際社会の中国に対する理解もまた、矛盾の中にあり、皆に、中国において一体何が起こっているのか、こうした事件の発生した背景、及びその説明といった問題について、これを明らかにすることは、中国が直面する一連の問題を解決する基礎となる。

(記者・王珍)
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