陳水扁・台湾総統、なぜ米国に冷遇されたのか

【大紀元日本5月10日】情報筋によると、中南米を歴訪中の陳水扁台湾総統は9日、帰路にも米国を中継地にしないと発表した。陳総統の中南米訪問は、出発当初から米国経由地の問題で波紋を広げていた。アナリストらは、陳総統が執政して以来の米国経由地において、今回が最悪な待遇であるとし、米政府が陳総統を通過旅客としか認めない形は、台米関係を担う台湾指導者にとって一大失敗であると分析。米VOAは、今回の一連の出来事の背後は、様々な見方があると報道した。

台湾外交部:中共が背後で妨害

台湾外交部スポークスマン呂慶龍氏は、5月2日常例の記者会見で、中共が背後で妨害をしているとし、台湾は不公平な抑圧をされているが、決して権利を放棄せずに、協議をし続けることを示した。

中共外交部:陳総統が米国への活動を断固反対

陳総統が外遊する前の4月27日、中共外交部のスポークスマン秦剛氏は、常例記者会見で、台湾の政治要人らがいかなる名義、口実で米国を訪問し活動することを断固反対すると主張した。また、米政府に対して1つの中国の原則立場、米中の共同声明および台湾独立反対の承諾を遵守し、陳総統の米国訪問を許可しないよう要求した。

楊力宇氏:台湾の外交に大きな打撃

米シートン・ホール大学の楊力宇教授は、陳総統が受けた今回の冷遇は、台湾の外交における大きな打撃であるとの見解を示した。楊氏は、中共が背後で妨害していることは原因の1つであるとし、中共は台湾が行うすべての外交活動に非常に敏感であるとし、特に米国との外交活動がそうであると強調した。

しかし、もう1つの原因として、米国は陳総統のあらゆる行為は、米中関係に影響を及んでほしくないからであると指摘した。楊氏は「米国は中共に対して求めるものがあるとし、イランの核兵器問題、北朝鮮の核兵器問題、人民元の切り上げ、米中間の貿易赤字の減少など、多くの問題を抱えているのだ。米国は中共に対して、何かを追い求めているのだ」と語った。

黄靖氏:陳総統本人に打撃

米ブルーキングス研究所の上部研究員・黄靖氏は、米国は陳総統に対して、公に顔をつぶすような行動を取ったとは、表面上では陳総統は何度も約束を守らなかったからにしているが、深層部分では、台湾の挑発的な行動で米中両国の安定関係を破壊されたくないからだと指摘した。

黄氏は、胡錦濤氏が執政して以来、台湾を統一する政策を台湾海峡両岸の平和および安全へと移し、台湾独立を防止する政策へとなった。また、中共は米国が定義した現状を受け入れたことで、米国は快く中共とともに台湾海峡問題を扱うようになったと分析した。

黄氏は「しかし、実際、米国は陳総統に対して苦しい立場に立たせる以上に、北京側に対して、米国は台湾を管理する能力があることをアピールしたいのだ」との見解を示した。

陳文彦氏:台湾はさらなる努力を払い、より多くの友人を作るべき

米ワシントン地区で陳政権を支援する「台湾人関係協会」執行委員長・陳文彦氏は、台湾は米国の外交における重鎮であるため、中共はあらゆる方法を使い台湾を抑圧しているとの見解を示した。

また、陳氏は、「中国は常に台湾を孤立させようとしているため、台湾の立場は困難である。しかし、今回の経由地事件を台湾外交の成敗と見なさずに、国として米国が台湾に与えた尊厳としてみるべきだ。台湾には本当に困難が現れた。より多くの友人を作るべきだ」と語った。

傅建中氏:陳総統は米政府の信用を回復させるべき

ワシントンに在住しているベテラン記者・傅建中氏は、陳総統が冷遇されたことは「国家統一綱領」の事実上の廃止と関係しているとし、同綱領の廃止行動は米国側を不快にさせたとし、陳総統の信用に対して不信感を抱いたという。同氏は、陳総統は米政府に対して、信用を回復させることが前提である考えを示した。

関連記事
5月5日に行われたパナマ大統領選で、ホセ・ラウル・ムリーノ・ロビラ(José Raúl Mulino Rovira)氏はサプライズ当選を果たしたが、これはバイデン政権に影響を与える可能性がある。 バイデンの綱領には、移民がアメリカ南部国境に侵入するのを防ぐためのダリエン地峡(2つの陸塊をつなぎ、水域に挟まれて細長い形状をした陸地)の閉鎖が含まれている。
垂秀夫前駐中国大使は9日、長年に渡って日台間の友好関係を推進してきた実績から、台湾の蔡英文総統より勲章を授与された。垂氏は自身と台湾との深い縁に言及し、今後も日台関係の強化に尽力していく考えを示した。
中華民国の新政権就任式に向け、台湾日本関係協会の陳志任副秘書長は7日、外交部の定例記者会見で、20日に行われる頼清徳次期総統の就任式に、現時点では各党・会派から37名の日本国会議員が37人が出席する予定だと発表した。過去最多の人数について「日本側は新政権をとても重視している」と歓迎の意を示した。
中国共産党の統治に反感を抱く中国人が続々と東京に集っている。識者らは、辛亥革命時に日本人が孫文らを支援した歴史を想起し、「義を見てせざるは勇なきなり」の精神で中国人と付き合うべきだと指摘した。
亜細亜大学の范雲濤教授(61歳)=中国籍=が昨年2月に中国へ一時帰国した後、行方不明になっている。政府に対してもっと積極的な対応を求める声が高まってる。松原仁氏は24日の衆院外務委員会で、上川陽子外相に対し、范雲濤教授の失踪について外務省の対応を問いただした。上川外相は、3度質問したにもかかわらず、ノーコメントで答えることを繰り返し、中国に対し口をつぐむ、具体的な対応は公表していなかった。