中共政権、さらにカトリック主教任命、バチカンとの関係悪化

【大紀元日本5月17日】中国カトリック教「愛国協会」と中共政権宗教局は、ローマ教皇の承認を得ず、さらにもう1人の主教を任命した。バチカンと中共政権の緊張関係はさらに悪化する見込み。

4月30日および5月3日に、中共政権は主教2人を任命したが、バチカンのスポークスマンは「宗教自由を厳重に侵害した」と譴責し、カトリック教教会法規に則り、祝典礼拝を司った者および任命された者を、ローマ教皇庁から破門する」と発表した。

また、ブッシュ大統領は5月11日、中国家庭教会(地下教会とも称する、中共に弾圧されているカトリック教組織)の信者3人と面会し、中共による宗教自由の侵害問題に引き続き強い関心を示していくと表明。これにより、中共は、帰国後に厳重なる結果をもたらすと3人を脅迫し、予定されていた香港訪問を取り消した。

今回の中共政権の一連の強硬姿勢は、中国における信仰の自由への侵害が日々度を増していることを露呈した。

愛国協会の神父すら、承知できない主教任命

5月14日、中共政権のカトリック教教会「愛国協会」はZHANSILU氏(男、45歳)を福建省東教区の主教に任命した。同氏は「愛国協会」の副会長。BBCの報道では、教会関係者・辺氏の話を引用、ZHAN氏の主教任命はバチカンの承認を得ていないと報じた。一方、ZHANSILU氏本人は、バチカンに書簡を送り、承認を要請したが、回答は得られなかったと話している。また、BBCはもう1人の神父の情報を引用し、「今回の任命はローマ教皇に承認されていないため、『愛国協会』に所属する神父すら、反旗を挙げ、祝典礼拝への参加を拒否しようとしたが、中共政権からの強い圧力のため、出席は免れない」との内情を明かした。

中共政権が立て続けに3人の主教を一方的に任命したことに対し、バチカンは、主教を任命する権限は教皇本人にしかないと主張している。 中共政権は主教を任命することは中国の内政であるとしている。

中共政権から「愛国協会」への加盟を強要されたが拒否したため、数年間も投獄された地下教会の李鏡峰・神父(男、83歳)は、釈放された後も、バチカンへの忠誠を誓っている。同神父は香港メディアの取材で、「ローマ教皇が主導するバチカンから離脱したら、カトリック教でなくなる。これは我々の信仰だ」と述べた。

中国におけるカトリック教の二大陣営

民間の試算によると、中国でのカトリック教信者は1千万人に達し、中共政権が制御する「愛国協会」と、ローマ教皇に忠誠を誓う「家庭教会(地下教会)」に分かれている。

中共政権は家庭教会の信者に対し、長い間に取り締まりを続けている。ローマ教皇が任命した30数人の中国人主教はほとんど全員が投獄あるいは軟禁されていた。さらに家庭教会の信者270万人以上が、違法監禁や、逮捕されたことがある。中共政権は彼らに対し、「愛国協会」への加入を強要し続けている。

悪化する一方の信教の自由への侵害

米ブッシュ大統領は5月11日、中国の地下教会の3人のキリスト教信者とホワイトハウスで面会を行った。会見の中、3人の中共の宗教規制に対する批判に対して、ブッシュ大統領は、今後中国のトップリーダーに、引き続き中国の宗教自由問題を言及すると表明した。チェイニー副大統領などの閣僚も同席。今回の面会は、米政府が中共当局に中国での信教自由への関心以外、キリスト教徒の信教権利への支持表明のシグナルと見られている。面会に同席した米国対華援助協会の責任者・傅希秋氏によると、面会が決定された後、中共大使館はホワイトハウスに抗議し、ブッシュ大統領に対し、面会を中止するよう要求した。また、3人の信者に対し、帰国後に厳重なる結果が待ち受けていると脅迫したという。

面会に参加した2人の信者が米国訪問後に、香港に招待される予定だったが、しかし、この面会が終了した8時間後に、香港方面の主催者から、訪問を取り消しするとの通達が届いた。理由について、「国際社会で広範囲に注目されるような事件を引き起こした」と説明された。

そのため、香港紙「リンゴ日報」は、「ブッシュ大統領と面会するのは罪か」と題する社説を掲載し、「主催者側のこの行動は香港の『一国両制度」の法則に違反し、学術交流を妨げ、香港の民主発展に多大な損害を与え、その影響は計り知れないものである」と批判した。

米国対華援助協会の責任者・傅希秋氏は、「ここ数年間、ブッシュ政権は、再三にわたり中共指導者に対し、中国の信教の自由が深刻に悪化し、後退していると指摘し続けてきたが、事実上、人権問題や、特に宗教への迫害などの面において、状況がまったく改善されていない」と述べた。

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