【現代音楽家の作品】「時の終わりのための四重奏曲」

【大紀元日本6月11日】ある場所でたまたま楽器奏者に出会った。それがきっかけで曲が生まれ、演奏会まで開催された。オリビエ・メシアン作曲「時の終わりのための四重奏曲」は、そんな曲です。

メシアン(1908-1992年)はフランス作曲家です。わずか10歳でフランスのパリ音楽院(コンセルバトワール)に入学を認められ、11年間にわたり音楽教育を受けました。卒業後、彼はパリのサン・トリニテ教会のオルガン奏者となり、そこで60年間もオルガン奏者として、また作曲家、演奏家として活躍することとなります。

第二次大戦中に彼はフランス軍に召集され、戦地に赴き、ドイツ軍に捕らえられてしまいました。収容所から解放された後の1942年、彼は母校のコンセルバトワールに教授として迎えられ、ブーレーズなど、たくさんの著名な音楽家を輩出しました。また、移調の限られた旋法、トータル・セリー、また鳥の鳴き声に基づく作曲など、芸術創作の面で多彩な才能を発揮する一方、彼自身が熱心なキリスト教徒であったことから、たくさんの宗教音楽も作曲しました。

メシアンは大戦中に、収監されたポーランドのゲルリッツ収容所で、チェロ奏者パスキエ、バイオリン奏者ブーレール、そしてクラリネット奏者アコカと偶然出会い、これをきっかけにバイオリン、クラリネット、チェロ、そしてピアノの4つの楽器で演奏する「時の終わりのための四重奏曲」を作曲、1941年1月に収容所内で、捕虜5000人の聴衆のもと、初演しました。氷点下30度まで気温が下がる極寒の季節、しかも満足に調律もできていない楽器での演奏にもかかわらず、聴衆はメシアンたちの演奏にじっと聞き入っていたということです。

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