免疫システムのバランスが崩れると慢性炎症が引き起こされ、多くの慢性疾患を招き、さらに老化を加速させる可能性があります。機能医学の専門家であり、REDOX Health GroupのCEOである欧瀚文氏は、健康1+1の番組内で、慢性炎症は心血管疾患、糖尿病、認知症、関節炎などの病気と密接に関係しており、免疫システムの「バランス」を保つことが疾病予防の鍵だと指摘しました。
欧瀚文氏は、従来の「機能医学」はさらに発展し、「長寿医学」へと広がっていると述べています。これは、病気の予防だけでなく、老化を遅らせ、健康寿命を延ばすことを重視する考え方です。人口の高齢化が進む中、医学界では、病気を防ぎながら老化の過程でも高い生活の質を維持する方法にますます注目が集まっています。そのため、アンチエイジングは単なる美容医療にとどまらず、内面から外面までを含めた総合的な評価と調整であるべきだとされています。
機能医学の観点から見ると、老化の始まりは多くの場合「代謝の老化」にあります。年齢を重ねるにつれて身体の代謝機能は徐々に低下し、代謝速度も遅くなります。本来排出されるべき代謝産物が体内に蓄積し始め、それらの異常蓄積物を免疫システムが潜在的な脅威として認識し、防御反応を引き起こします。
免疫システムが長期間活性化された状態にあると、やがて「免疫老化」の段階に入ります。免疫細胞が持続的に活性化し、炎症物質を放出し続けることで、身体は長期にわたり慢性炎症状態となり、全身の組織や臓器に損傷を与えます。研究では、免疫細胞の異常な老化過程が「炎症老化」を引き起こし、この慢性炎症が体内の恒常性を乱すことで、全体的な老化の進行を加速させることが示されています。
免疫力は強ければ良いわけではない
パンデミック以降、人々の免疫力への関心は大きく高まりました。しかし欧瀚文氏は、免疫力は「強ければ強いほど良い」のではなく、「バランスを保つこと」が重要だと強調しています。
免疫システムが過剰に活性化すると、敵と味方を識別する能力を失い、「黒い影を見たらすぐ撃つ」ような状態になり、自分自身の組織を攻撃してしまいます。その結果、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患を引き起こす可能性があります。
一方で、免疫力が低すぎると、体内の異常細胞(腫瘍細胞など)を効果的に発見・除去できず、がんのリスクが高まる可能性があります。そのため、理想的な免疫システムとは、適度に活性化された「中庸」の状態を維持することです。
炎症の悪循環を断ち切る
慢性炎症と免疫バランスの乱れは、しばしば悪循環を形成します。そのため、炎症状態を改善することが、慢性疾患の予防と改善の鍵と考えられています。
欧瀚文氏によると、身体が慢性炎症状態にあると、体内ストレスが増加し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が促されます。コルチゾールはストレスに対抗するために体内のエネルギー源を動員するため、血糖値やコレステロール値が上昇し、さらには筋肉タンパク質を分解して、代謝負担をさらに重くします。
また、臨床例として、糖尿病や高血圧の患者が、薬を変更しないまま体内の炎症源をコントロールすることで、血糖値や血圧が安定し、最終的に薬の減量に成功したケースを紹介しました。これは、炎症を根本から抑えることが、慢性疾患の悪化防止に役立つ可能性を示しています。
機能医学の診断プロセス
欧瀚文氏は、機能医学では人体の各システムのつながりを重視し、ストレス、免疫、血糖値、血圧などを統合的に評価すると説明しています。これは、従来医療のように診療科ごとに分けて扱う方法とは異なります。この全体的な視点は、「バランス」を重視する中医学の考え方とも通じるものがあります。
健康問題の根本原因を見つけるために、機能医学では通常、体系的な評価と精密な調整を行います。具体的には以下のようなものがあります。
1.腸機能検査
大腸内視鏡検査が粘膜表面の病変(ポリープや潰瘍など)の観察を中心とするのに対し、機能医学では消化機能、腸管バリアの完全性、免疫機能、腸内細菌叢のバランスまで評価します。
2.ホルモン評価
特に女性(および一部男性)のホルモン変化を検査します。多くの自己免疫疾患は女性に多く見られますが、これはホルモンの大きな変動と密接に関係しています。このような変動は、思春期、妊娠期、更年期に起こりやすいです。
3.環境毒素の検査
重金属、プラスチック添加剤、農薬、カビ毒素などの環境毒素は、免疫システムに抗体を作らせ、自身の組織を攻撃させることで、自己免疫疾患を引き起こしやすくします。
腸は最大の免疫防衛線
腸は単なる消化器官ではなく、人体最大の免疫システムでもあります。免疫細胞の70〜80%は腸内に存在しています。欧瀚文氏は、特に胃腸症状に注意し、自分の身体の声に耳を傾けるべきだと勧めています。
腸の免疫システムが乱れると、抗体が全身を巡り、関節、甲状腺、筋肉などを攻撃するようになります。便秘や下痢、腹部膨満感、吐き気などの消化器症状が現れた場合、それは免疫異常の前兆かもしれません。
腸の健康維持について、欧瀚文氏は三つの重要ポイントを挙げています。
1.消化と吸収を整える:よく噛んでゆっくり食べ、規則正しく食事をし、暴飲暴食を避けます。
2.加工食品を避ける:高糖質・高脂肪・揚げ物を減らし、自然な形の食材を摂ることを心がけます。
3.食物繊維を摂取する:食物繊維は体内で代謝されると短鎖脂肪酸を生み出します。これは腸細胞にとって重要なエネルギー源であり、腸管バリアの完全性維持に役立ちます。
プロバイオティクスの補充については、やみくもに摂取すべきではなく、まず検査によって腸内細菌叢の状態を把握し、具体的な必要性に応じて適切に補うべきだと欧瀚文氏は強調しています。
生活状態を整える
外部環境によるストレスは変えにくい場合が多いため、欧瀚文氏はまず体内ストレスを減らすことから始めるべきだと提案しています。身体の炎症こそが最大の内的ストレス源であり、その原因(胃腸の問題など)を見つけることが極めて重要です。
睡眠は免疫バランスを回復させる良薬であり、免疫機能を強力に調整する働きがあります。欧瀚文氏は、毎日30分早く寝るだけでも、例えば午前0時就寝を午後11時半に変えるだけで、翌日の体力、精神状態、肌の状態が大きく改善すると述べています。
さらに欧瀚文氏は、健康食品を自己判断でむやみに摂取すべきではないと注意を促しています。例えばルテインの場合、過剰摂取すると、このような脂溶性ビタミンは体内に蓄積し、肝臓への負担を増やす可能性があります。そのため、一人ひとりに合わせたオーダーメイド型の精密医療と精密予防こそが、健康向上により大きな安心をもたらすのです。
(翻訳編集 解問)
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