陳方安生・前香港政務長官、政治改革チームに取り組む
【大紀元日本7月24日】陳方安生・前香港政務長官は19日、香港の外国記者クラブで香港の政治制度発展について意見を発表し、政治改革チームを設立することを表明した。陳方氏は、社会各界の有識者から、香港の政治制度改革についての見解および懸念を聴取し、特別区政府当局に対して改革法案を提出すると意気込みを見せた。
陳方氏は記者に対して、同チームは、志と信念を同じくする有識者の結成が望まれるとし、8~10人の小人数がよいとの考えを示した。同氏は、香港の政治改革の動きが非常に遅いことを指摘し、「自分が政治改革において必ず成果が得られることは保証できないが、香港の公民としてトライすべきである」、また「香港の長期利益目標に立って、改革に即効性のある法案を打ち出すのだが、政府が完全に同チームの提案を受け入れることは期待しない。しかし、同提案が政府自身の思考を改め、香港人が受け入れられる法案に取り組んでくれれば、目的が達成されたと言えよう」と語った。
微笑みを見せる陳方安生氏(大紀元)
西側政府との「付き合いが緊密過ぎた」という、陳方氏に対する中共当局の批判に、同氏は、「香港社会の一員として、香港のこれから先の多くの世代に、経済・社会・政治のあらゆる面において、正確且つ安定で継続発展ができる道を歩ませたいし、自分は現在、政府の仕事を行うにしても、または引退後に行うことにしても、すべてが香港のためであるから、同心配は不必要である」とした。また、「香港は国際都市であり、多く異なる国籍の人々が香港に在住している以上、香港の動きや種々の発展に興味があるのも極自然である」との意見を述べた。
調和がとれることは、政府に対してすべてに同意することではない
「昨年9月胡錦濤指導部は打ち出した「調和のとれた社会(和諧社会)」建設と名付けた政策と香港の一国両制度との関係に関する意見」、とのメディアの質問に、陳方氏は一国両制度は調和のとれた社会に矛盾の存在ではなく、調和のとれた社会の定義は、政府が規制した全てのことに同意しなければならないとの意味ではないと答えた。「社会の調和がとれることとは、政府が人民に政策つくりに関与の権利を与え、市民は自分の関心を政府に反映するルートを有し、これらの関心に政府が応じてくれることが期待できると理解している。香港人が‘基本法’に与えられた、普通選挙による特別区行政長官および立法会議員を選出する権利の実行ができた時こそ、このような調和の取れた社会は実現できるのだ」という。
また、外界が始終注目している同氏が来年の香港行政長官選挙に参加するかについて、同氏は、「近い内に、適切な時期を選び、参選について明確な声明を行う。但し、党派を結成する意志はない」と答えた。
記者会見で香港政治制度の発展について意見発表する陳方安生氏(大紀元)
言行一致に徹する責任がある
陳方氏は、「1985年に香港は初めて民選議席を立法局に導入し、グループ分けにして選挙を行った。1991年、立法局は初めて普通選挙によって10人が選出された。これはまさに香港が民主の道における一里塚であるのだ」と香港の普通選挙を紹介した。同氏は、「基本法」の最大の成果とは、香港の民主政治制度の安定に明晰な方向を示してくれたことだ。しかし、1997年に中共へ回帰してからの数年間、中共政権は同意見に対して、異なる意見がある。同氏は、「普通選挙がなければ、真の民主政府は実現しない」との見解を示した。
発展専門チームの権限が限られている
陳方氏は、香港人は普通選挙に対して、これ以上の実現はできないと見ている。なぜなら、香港政府の発展専門チームは2007年および2008年の特区行政長官および60人立法会議員の政治制度を調整したのみであって、さらに一歩前進した方針は定めていないからとした。同氏は、その理由は、同チームの権限が限られているからと指摘した。
同氏は、「政府がやるべきことは、多くの関係ない問題を集め、民意を調査することではなく、未来の道の方向を明晰な提案をし、
記者会見を終えて、外国記者クラブを出る陳方氏(大紀元)
しっかりした基礎の上に、計画通りに進めることが大事である」と語った。
会社条例は政党に対する保障はない
陳方氏は、現在香港では、個人が政党を組織する際、「会社条例」に則り、登記する方法はまったく理想的なものではないとの見解を示した。同氏は、政党の役割および責任を明白にし、適切な保障条文を設け、むやみに干渉をされることなく、健全な政党活動を確保する独立した法例を設定すべきであるとの意見を示した。また、政党自身も早急に政党宣言を作成し、市民が各政党の主旨および政策を理解させるべきだと主張した。
また、立法会が現行の方法から全面普通選挙へどう変えて行くかという質問について、陳方氏は、発展させるための段取りを設定することが必要であるとした。また、同氏は、間接選挙はあくまでも直接選挙への橋渡しであるとし、永久に保留されることはないとの見方を示した。
同氏は、「強固でありながら、臨機応変の民主構築は、長期視点において、香港を繁栄させることができる。勿論、そこまでの道のりは、多くの挑戦に直面しなければならないことはよく分かっているのだ」と心情を語った。