中国・僧侶破門事件、政治的背景のほか、当局の寺院資金乱用告発問題も=米国人権団体

ニューヨークに本拠地を置く人権組織「中国人権(Human Right in China)」によると、中国共産党(中共)当局の管理下にある中国仏教会会長・一誠法師は、天安門事件(六四事件)で亡くなった犠牲者らの追悼儀式を行った、江西省宜春市化成禅寺の聖観法師聖観法師・徐志強氏を破門した。中国人権はこの件を強く非難、スポークスマンの封従徳氏は、天安門事件の被害者を追悼したという政治的背景のほか、聖観法師が寺院の財政公務公開制度を推進し、仏教会と政府関係者との結託による汚職・腐敗の実態を公開しようとしたことが絡んでいるという見解を示した。

スキャンダルをでっち上げ

中国人権の報道によると、江西省宜春市化成禅寺の聖観法師は今年6月4日、北京や深セン、地元宜春市の居士(仏教の在家信者)などを集め、1989年の「天安門虐殺事件」で犠牲になった学生らを追悼する法要を開いた。また、内情をよく知る者の情報から、8月24日、西宜春市宗教事務局の楊旭局長が、国安局から国安職員60人ほどを率いて化成禅寺へ向かい、住職の戒全和尚に対して、聖観法師が女性居士3人と男女関係があるというでっち上げ文章を発表させようとしたが、戒全和尚は発表を拒否したため、30人ほどの私服警官に強制的に連行されたという。

この文章の出所は明記されておらず、指摘されたことについての証拠も一切なかったという。しかし、背景には中国仏教教会会長・一誠法師より、聖観法師は戒律に違反したため、破門にするとの指示文があったという。聖観法師もその後連行された。

寺院資金を不正乱用する仏教会

聖観法師・徐志強氏は、元西安の89年の学生運動組織者で、2002年に出家し、2005年に江西省仏学院にて教職を執り、現在江西宜春市化成禅寺の監院を務めている。徐氏は、8月25日にVOAの取材に対して、宜春市仏教協会の一部の責任者は化成禅寺の資金を乱用したことから、信者たちの、不満をもたらした。また、同氏が寺の監督の仕事を受け継いでから、帳簿を徹底的に調査し、会計事務所に依頼して財務監査をし、財務を公開したため、地方宗教局の腐敗職員らからよく思われていなかったと語った。徐氏は、「中共の体制下、大多数の寺院宗教は自由がない。統一戦線部宗教局がすべての寺院を制御しており、寺院の事務制度の公開は好ましくないとしている。なぜなら、公開しなければ、彼らが裏でいろいろ操作ができ、寺院のコントロールをさらに強化できるからだ。しかし、風紀が良くない主な原因が財務制度であり、寺院は公益事業機構であるなら、公開することがもっとも公正である」と主張した。

大袈裟な警察出動

今回の破門命令に対して、聖観法師を弁護している化成寺の法律顧問・周氏は、政府当局がでっち上げの罪状で法師を陥れたと当局を非難した。周氏は、「破門するまでのすべての手段は、政府の直接介入であり、宗教内部の指導者達に当局の人事任命を受け入れさせようとしている。300人を派遣してまで和尚を寺院から追い出すこと自体がオーバーな行動だ。女性問題でここまで多くの警官を出動させることはあり得ない。言うこともなく、化成禅寺または周囲の人々は、誰一人も聖観法師が追い出された理由が女性問題であることを信じていなし、まったくのでっち上げであることは分かっているのだ」と非難した。

仏教信者が弾圧される現状をメディアに告発

江西省を追い出され、深圳を放浪している徐氏は、中共が中国仏教団体を単なる道具として、仏教信者を弾圧する現状をメディアに告発し、正常な法的手段を通し、同氏の法律権利を主張すると話している。また、化成禅寺の職員によると、聖観法師が強制退去されてから、一部の居士も給料を受け取ってから寺院を離れるという。

仏教は政府側が承認された五大宗教の1つ。中共当局の統計によると、現在組織されている宗教の中では、仏教信者数がもっとも多く、1億人以上の信者は中国人口の約8%を占めているという。仏教事務は中共政府制御下の中国仏教協会が管理している。

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