争鳴:温家宝が最も懸念する金融崩壊
【大紀元日本1月23日】香港月刊誌「争鳴」はこのほど、最近開かれた国務院金融内部会議の総括内容について報道し、中国中央政府が最も危機感を抱いているのは、中国の金融システムの崩壊であることを伝えた。
中国大陸の商業銀行及び株式制銀行の不良債権は10万億元に達している。温家宝は、最近国務院において開催された金融内部会議において次のように述べた。「最も懸念するのは、金融問題が累積した結果、ある日、国内外における複雑、突発的な要因を契機として金融体制の崩壊が発生し、政局の混乱を招くことである」。
国務院が金融内部会議を開催
最近、国務院は金融内部会議を開催し、金融システムの状況と金融業務の国際開放への対応について総括した。会議上、金融システムの現状について総括、討論を行った際に、次のような指摘があった。「金融における深層の問題は、既に構造的、循環的、悪性的な問題へと変化しており、これが現在の金融秩序の混乱、管理体制の混乱、監督及び審査体制の混乱及び人事編成の混乱に表れている」。
2003年以来、中央は、4大国有銀行、12の株式制銀行に、前後して作業チームを派遣し、問題を調べ上げた。しかし、事態は繰り返され、問題は依然として発生している。ある調査によると、4大銀行の上海、浙江、江蘇、広東、福建などの省・市における支店行長、副総経理、総経理は、92%が姻戚関係にあり、75%が高級幹部の親類であることが明らかになっている。
温家宝首相:金融システムの問題は社会の安定に関係する
温家宝首相は、今回の会議において次のように述べた。「金融システムの問題は、国家全体の運営、経済の安全、社会の安定に関わる核心的な問題である。金融システムにおいて発生した、ないし明るみに出てきた問題及び危機、常時蓄積されてきた問題及び危機は、そのすべてが現行の金融・経済体制上、監督・審査制度上、及び管理階層、特に指導階層の政治、専業面での職務意識上に現れている」。
また、単刀直入に、次のように述べた。「私が総理の座にあって、最も懸念しているのは、金融問題が累積した結果、ある日、国内外における複雑、突発的な要因を契機として金融体制の崩壊が発生し、政局の混乱を招き、中国がこれを克服、解決するのをどの国家も支援できなくなることである」。
「体制の適応に係る問題を解決すべき」
温首相は、さらに次のように指摘している。「金融の安全性は、国民経済成長の維持、不良債権の抑制、対外貿易の成長の維持、内需市場の開拓に依拠するとともに、欧米、日本の対中貿易の拡大、海外からの中国への質の高い投資の発展、政治、社会の安定による制約を受ける。これは、経済改革、対外開放、現代化建設を進める中国の特色ある社会主義社会が必ず克服、解決すべき体制の適応に係る問題である」。
呉儀副首相は最近、広東、福建等の地を視察した際、次のように指摘している。「金融システムの問題は非常に複雑であるが、その根本にあるのはやはり体制と構造の問題であり、管理階層の能力の問題である。金融システムの闇は非常に深く、中央からの補填(資本注入を指す)に頼るのみでは、底なし沼となってしまい、直ちに金融の大災害が訪れるであろう」。
近年の金融系統に絡む立件は8千件以上
2003年4月から06年12月下旬にかけて、中央及び省級の紀律委員会、監察部門は、金融系統に作業チーム、調査チームを2773個派遣し、8440件を立件した。その金額規模は2兆3300億元余りとなり、17460名余りの科級以上の主管が免職、処分を受け、443名以上の主管が逃亡した。
中央は4大商業銀行に4兆6620億元の資本注入
2001年5月、国務院は、金融機関の破産、倒産を防止し、WTOの規則に適応するため、06年10月までに、4大銀行に対して4兆6620億元の資本注入を行った。