中国:宗教信仰者3億人、政府統計の約3倍

【大紀元日本2月10日】上海華東師範大学の最近の世論調査で、中国国内で宗教信仰している人数が、3億人以上に達していることが明らかになった。「中国日報」によると、華東師範大学の教授が4500人を対象にして抽出調査した結果、16歳以上の中国人の内、31・4%が何らかの宗教を信仰していることが分かった。これは、中国国内で、約3億人が宗教を信仰していることになり、政府統計の約3倍。

政府媒体「瞭望週刊」はこのほど、陝西・甘粛・寧夏地域の農民たちが、積極的に各種宗教活動に参加していると報じた。農村の特定地区では、「村々に寺院があり、神に詣でては、巫告を聞く」で、新たに寺院を建築して宗教を信仰するブームにまでなっている。中国一般大衆の宗教熱に、無神論を統治手段とする中共当局が警戒し始め、同誌を通じて、「文化思想」の建設と管理制御を強化すると言明した。

有識者の指摘によると、人類が宗教の信仰を求めるのは、止めようのない天性であり、正道の宗教および信仰は社会の安定と発展に有利であり、政府が制約したり、民衆が「何を信じて、何を信じないか」を強制したりすべきでない。

今回世論調査の中で、民衆2億人が仏教、道教、もしくは「龍王」「恵比寿」などの民間信仰していることが判明、信仰者の中の12%を占める約4千万人がキリスト教信者だという。これは、中共当局が2005年に発表した数字1600万人と大きくかけ離れている。

(ビデオ:中国仏教聖地の峨眉山)

無神論の中国共産党は、党の基準に「合格した」教会、寺院、モスクのみ承認し、一般大衆も党が管理する教会、寺院でしか儀式に参加できないが、これに対して国際社会が強く反発している。米国「国際宗教委員会」のゲル議長は1月31日、中国の宗教開放はここ一年で大きく変わってきたと指摘、中国政府が北京五輪までに人権侵犯を停止するか、西側諸国が督促するよう勧告した。

*農村部での宗教信仰熱、都市部でも盛ん

陝西省靖邊県を例としてあげると、小さな「霊廟」を除き、同県の郷22地区には、寺院297廟がある。農民たちは経済的に困難でも、喜んで寄進する。さらに、陝西・甘粛・寧夏の一部地域で、地下宗教・邪教といわれる「門徒会」と「実際神」が、農村部へ進出・転移する顕著な動向があるという。

キリスト教信者で中国独立評論家の余傑氏は「現在の中国で、宗教が復興する状況は、都市部と農村部とでほぼ同様だ。しかし、西部地域の極端に貧しい農民たちには、年金・健康保険等の社会保障がなく、将来に光がない状況下なので、宗教信仰に対する需要は都市部より大きいだろう」とみている。

*宗教の信仰は、共産党への不信任

「瞭望週刊」は、地下宗教、邪教、民間迷信の台頭は、農民たちの共産党に対する不信任の表れであると指摘した。陝西省委党校党建研究部の岳東峰・主任によると、改革開放後の思想文化領域において、「政治色から脱却する」傾向が現れたという。

米フィラデルフィア市トマス・ジェファーソン大学病院の精神科医師・楊景端博士は、「中国での各種宗教・信仰の復興発展は、中国人の共産主義信仰が破滅した後に来た必然的過程だ。中国は現在2つの大きい問題を抱えている。1つは、民衆がもはや共産主義を信じなくなった。共産党の上層部幹部たちも共産主義を信じていない。もう1つは、正当な宗教、神を崇め、人を善良にし、生命を尊ぶような信仰に対して、当局が取り締まっていることだ。これによって教団そのものが、正道であっても長持ちしない」と指摘した。

(ビデオ:中共当局が家庭教会を弾圧)

*「カルト」のレッテルを貼って弾圧

地下信仰団体「実際神」のスクープ報道によると、地元政府当局がこれらの地下宗教活動に対して有効な制約と管理方法がなかったため、これらの民間宗教団体が拡大し、都市部で流行した。これらアンダーグラウンドな宗教活動は、中国社会の安定にとっても一種の「地雷原」になっている。

中国社会に最近現れた「政府の基準と大きく違う」、所謂カルトな団体は、当局の宗教弾圧が生んだいわば「継子」だ。これら「カルト」団体の宗教活動を地下に追いやったのは、紛れもなく政府の責任だ。

前述の余氏は、「政教分離は現代民主社会の原則だ。赤い教団・三自愛国会と同種の党宗教管理機構を解散し、信仰の自由を開放し、どんな教団でも自由に布教活動ができるような素地があって、はじめて正教・正道の信仰が速やかに発展できるようになる」と述べ、中国社会の安定と発展のためには、党は宗教に対する敵愾心を放棄すべきとの認識を示した。

(ビデオ:教会を取り壊す)

*政府だけが許される攻撃

共産党が表向きに敵対しているのは宗教だが、実際に敵対しているのは民衆だ。党員は、自分の信仰には異を唱えない。中共の高級官僚でも、宗教を信仰するものは多く、驚くべきことに民間よりも多いという。

「争鳴」誌の2003年11月号によると、中組部が三中全会で配布した資料の中で、党員6000万人の内、2千万人が仏教を信仰していると発表している。党幹部らは祭日などになると必ず寺院へ出かけるし、自宅にも仏壇を設けているという。ある幹部によると「仏教の信仰は、精神の拠り所」だそうだ。

中紀委、中組部による概括的な調査統計によると、農村部を除き、都市部のみで宗教活動に参加している党員幹部が1200万人で、頻繁に参加する人数が500万人だという。農村部では、宗教活動に参加している党員幹部が800万人で、頻繁に参加する人数が400万人であるという。あるものたちは家族全員で入信し、また一部では党が組織して団体で参加している。

実際、江沢民・前総書記は、法輪功を迫害したことから、応報に遭わないように何度も寺院へ出かけたり、自宅で「地蔵経」の写経に励んだりしているという。

一部識者によると、中共の宗教弾圧には、党を神として崇めて貰いたい下心がある。米ローチェスター理工大学・歴史学部の朱永徳教授は、「1949年の中共政権成立以降、中国民衆の宗教信仰者が大変に少なく、毛沢東を救世主のように崇めていた…共産党は宗教が迷信だと言い、共産党には迷信がないというが、実際には、毛沢東は過去において菩薩、キリストのような宗教的存在だった」と分析した。

*学者:信仰の追求は人類の本性

中国社科院副研究員の范亜峰氏は、「人間が、思想・信仰を追及するのは自然の傾向であり、取り締まることができないものだ。信仰の自由は、人間性の内なる需要に基づいたものだ」と分析した。前出の楊氏は、「如何なる宗教・信仰であろうと、それがどんなに荒唐無稽であろうが、組織の管理形態がどんなに厳しかろうが、どんな資金運用をしていようが、教義がどれだけ大逆無道であろうが、それらをもって取り締まる理由にはならないし、それらが宗教を信仰できる(社会の)最低線だ。民衆に対して、こう考えなさいと発想の方法を強要するのはおかしい。そのような権利はないはずだ。人がどう考えるかは、その人の権利と自由であって、それこそが基本原則だ」と強調した。

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