中国:人工衛星撃墜実験「行わない」、北京は報道せず、上層部に異見存在か

【大紀元日本2月15日】額賀福志郎・前防衛庁長官は12日に北京で、中国の曹剛川国防相との会談で、北京は衛星撃墜兵器(ASAT)における今後の実験計画はないことを明らかにした。しかし、中国官製メディアの新華社は、両氏の会談報道の内容に曹・国防相のこの談話に言及しなかった。これに対して、専門家らは、当局の上層部指導者間がこの問題に対しての共通認識に達していない可能性が高いとの見方を示した。

海外メディアによると、曹・国防相の表明は、北京側が先月に行った衛星撃墜兵器の実験で、国際社会からの非難を解消するために最大の努力を費やしたという。

米サンフランシスコ大学研究員のスティーブン・ウハイリ教授は、新兵器の各設備の正常運行を確保するために、通常は繰り返して何度も実験を行わなければ、目標に達することはできないと指摘した。しかし、今回の実験で、中国当局の国際的イメージや信用が損なわれたため、北京側は類似する実験を中止せざるを得なかったと分析した。

*代価が大きい

ウハイリ教授は、「中国は今回の実験により、宇宙間に爆破の破片を多く作り残留させたことで、苦しい立場に置かれてしまった。北京当局が今後実験を行わないことにしたのは理解できるし、彼らが本当にそう思っているかも知れない」と語った。

一方、額賀・前防衛庁長官によると、曹・国防相は会談の中で、中国が行った実験はあくまでも科学目的であり、如何なる国家もターゲットにしておらず、どの国家に対しても脅威にならないことから、どの合議にも違反していないとの見解を示した。

これに対して、ウハイリ教授は、北京当局の談話はまったくの外交辞令であると反論し、今回の実験で衛星に的中したことから、中国が十分な軍事力を有していることが示されていると主張した。

ウハイリ教授は「衛星の攻撃実験は科学目的ではなく、明らかに軍事目的である。実験結果から、中国は衛星を破壊する力を持っており、直ぐには脅威にはならないが、中国は他国の衛星を破壊できることを明らかにした」と強調した。

新華社は曹・国防相と額賀・前防衛庁長官との会談報道で、中国の国防政策と北京が台湾問題における原則上の立場を明らかにしたが、注目すべきは、曹・国防相の衛星攻撃兵器の実験に関する最新情報には言及しなかったことだ。

*異常な現象

ウハイリ教授は、曹・国防相は衛星攻撃についての新しい表明は、本来は非常にニュース性に値する報道であるにも拘わらず、新華社はこれについて一言も言及しなかったことは非常に異常な現象であると指摘し、中国上層部指導者間が同問題において、異なる観点が存在することを示唆しているとの見方を示した。

ウハイリ教授は「中国国務院および中共政治局内部における同問題に対して、必然的に一定の異見が存在している。これは決して正常な現象ではないのだ。当局は新華社および外交部を通じて、正式に声明発表をすれば良いことで、沈黙を守る必要はない。このことから、中国上層部の指導者間では、同問題に対する異見を持っており、軍部、科学技術部および外交部の間で見解が一致していない可能性も考えられる」と分析した。

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]