西太后お気に入りの薬膳

清朝の光緒6年(1880年)9月、西太后の慈禧は、胃腸の調子が悪くなり、食欲がなく、腹部が脹れて吐き気がし、便通不良、気分も憂鬱になっていた。侍医たちは真剣に診察したあと、脾胃虚弱(胃腸の機能低下による消化不良)だと診断した。

 この診断に基づいて、侍医たちは一つの食養生の処方箋を作った。処方の中身は、茯苓、オニバスの実、蓮子肉(蓮の実)、ハトムギ、山薬(山芋)、白扁豆、麦芽、蓮根の8種類の生薬であった。これらの生薬の粉末に白砂糖を加えてカステラのような蒸し菓子を作り、「健脾糕」(けんぴこう)と名づけた。

 西太后は、この「健脾糕」を食べてから、すっきりと元気になり、しかも、薬のようなものでなく、美味しいお菓子として食べたので、とても気に入った。そして自らこの「健脾糕」を「八珍糕」(はっちんこう)と名前を付け替えて、病気があってもなくても、間食のお菓子として食べた。

▶ 続きを読む
関連記事
AIが真偽を曖昧にする現代、孔子の「巧言令色」の警鐘を重ね、日本の職人技に宿る「人の時間と心」に注目。機械には決して偽造できない、手仕事が生み出す究極のリアリティと真の信頼(信)の本質に迫る一編
裸足で大地に触れるだけで、心身に変化が起こる? グラウンディングに期待される14の健康効果と、研究の現状、実践方法を紹介します
親がスマホに気を取られていると、子どもはどう感じるのでしょうか。研究が示す親子の絆への影響と、つながりを深める習慣を紹介します。
高血圧は認知症の危険因子ですが、虚弱な高齢者では異なる傾向も。約6千人の研究が示した、血圧と認知症リスクの意外な関係を紹介します
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます