【車椅子の花嫁】「大分さん家」の介護日誌(1)

【大紀元日本3月21日】今日は何曜日ですか?

ホームヘルパーの仕事が、もう一つひょんなことから舞い込んできました。軽い認知症のおばあちゃんの介護・・・ということらしいのです。私たちのような登録ヘルパーは、幾つかの利用者さんの御宅をやり繰りして掛け持っています。

ヘルパー2級取得後しばらくは介護の仕事に縁もなく、普通に市民生活を過ごしていました。介護の仕事で人手が足りないから、「あなたもここで働きなさいよ」という優しいお節介な隣人の誘いで、登録ヘルパーの世界に飛び込むことになりました。週数回ぐらいなら空き時間も取れる。ペーパー・ヘルパー止まりでは、勿体ない。いざという時の介護体験を、忘れないうちに磨いておきたいと決心しました。

私が大好きだった「私のおばあちゃん」は、93歳で亡くなりました。最期の2年ばかりは寝たきりで母が奮闘し、この時に介護の大変さを理解しました。私が手当てをしてあげると楽になったと、顔をほころばせてくれました。「私のおばあちゃん」を介護していた母の姿が思い出される年齢に差しかっかって、私はヘルパーの資格を取りにいったのです。

毎週木曜日は、大分さん家にお邪魔する日です。

私「お早うございます。大分さん、今日も来ましたよ!」

大分さん「おはようございます。座布団を敷いていいよ」

私「有り難うございます。台所の食器を洗いますから、待っていて下さいね」

大分さん「ええよ、私が洗うから・・・」

私「私が、洗いますからね」

大分さん「そりゃあ~、悪いね」

私「はい、洗い終わりました。大分さん、今日は何曜日ですか?教えて下さい」

大分さんは、車椅子のすぐ近くの壁に掛けてある、愛用のカレンダーに目をやって・・・

大分さん「火曜日じゃない・・・?」

私「いいえ、木曜日ですよ。8日の、木曜日ですよ」

大分さん「あっ、そうね~」

私「マジックで、印を付けておきましょうね」

大分さん「はいはい、いいですよ」

私「大分さんが、印を付けてくださいね」

大分さん「はい、いいよ。付けました」

大分さんは、木曜日の下の日付の数字を、小さい丸で囲んでくれました。

私「ゆうべは、良く眠れましたか?」

大分さん「はい、よくねむれました」

私「大分さん、今日は何曜日ですか?覚えていますか」

大分さんは、カレンダーの方に顔を向けて、

大分さん「・・・・・・・」

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