何清漣:情報統制強める中国

【大紀元日本5月5日】5月3日は、国連が定めた「世界報道自由の日」である。記者の権利を守る「国境なき記者団」が公表した数字によると、中国は、記者やネット作家監禁が最も多い国家である。また、在米学者・何清漣氏がRFA記者に伝えたところによると、中国は、ネット統制技術を他国に無償供与しているという。RFA(ラジオ自由アジア)記者・申●(シェン・フア)が何氏に取材した。(●金へんに華)

「国境なき記者団」が1日に公表した数字によると、今年の現時点において、全世界で24人の記者が取材中に非業の死を遂げており、この中には、「中国貿易報」の山西省記者・蘭成長氏が含まれている。また、全世界で135人のメディア関係者が獄中に服役しているが、このうち31人が中国にいる。また、全世界で、ネットで政府への批判を発表した者65人に刑罰が下っているが、このうち50人が中国にいる。中国は、長年にわたり、記者やネット作家の監禁が最も多い国家であったが、今年もまた例外ではない。

胡錦濤政権が発足して以来、中国政府のメディア統制はますます厳しくなっていると多くの人が考えている。「霧鎖中国(邦題:中国の嘘)」の作者で、米国に滞在している何清漣氏は、この視点を持つ者の一人である。

何清漣:中国メディアの状況はますます厳しくなっており、メディアで今後も生計を立てようとしている記者には高度の自律が求められています。ある友人は、電話で、『現在、政府がますます強大化する一方、社会がますます弱小化しており、政府の意見が全てになっている』と語っています。

現在、ニューヨークタイムズ北京支社研究員の趙岩氏、シンガポール「ストレートタイムズ」記者の程翔氏、人文思想サイト「愛琴海」編集長の陳建紅氏らが、政治的原因で獄中に身を置いている。新聞記者を監獄送りにするほか、中国政府は、一線を超えたメディアを行政手段によって整理している。北京の「三聯生活週刊」が、文革と唐山大地震の文章を掲載したために「イエローカード」を受け、編集長が降格処分となり、以来、政治事情についての文章を掲載することができなくなった。また、地方官員の腐敗行為を暴露することに長けた雑誌「百姓」も昨年整理を受け、編集長が更迭された。このほか、中国政府は、数万人のネット警察を擁しており、日夜ネットを監視している。何清漣氏がRFAに伝えたところによると、現在、ネット誌の刊行という手法もまた厳しく規制している。

何清漣:ネット誌とは、ネット上の優れた文章をまとめ、これをグループメールで送付し、ネット以外の場で特定の情報を得る機会を与える手法で、ネット統制からの救済措置となっています。この2日間の新聞報道によると、新聞出版署はネット誌を厳しく監視しており、ネット誌を刊行する場合、今後は新聞出版署に登録することが必要となり、登録しなければ違法刊行物と見なされます。

何氏はまた、「私が知るところでは、少なくとも、中国政府は既に、キューバ、北朝鮮、スーダン等の国家にネット統制技術を無償で移転しています」と述べ、ネット統制に巨額の資本を投じている中国政府が、ネット統制技術を海外に輸出していることを明らかにしている。

米国在住のフリーライターで、歴史学者の時鑑氏もまた、自身が書いた文章を国内の雑誌や出版社に持ち込んで掲載・出版を求めると、常に、審査の壁を越える困難に突き当たる。

時鑑: 彼らに渡した原稿を彼らにより一部削除されたり、海外では発表できても、国内では難しいと伝えてくる場合があります。

記者: それは、敏感な事件に関する文章ですか。

時鑑: 全く敏感なものではないと思います。米国の一部の老人は、辛亥革命以来の歴史事件について語っていますが、これは、国内では既に評価が定まったものです。多くの出版社は、出版しないとは言わず、承認を得る必要があると言うだけです。彼らのいう「承認」とは、不承認であることは明らかです。”

国際人権組織「アムネスティインターナショナル」の報告もまた、オリンピックの開催の条件として中国政府は人権状況の改善を約束したが、まもなく開催されるという現在において、状況は改善されていないばかりか、むしろひどくなっており、メディアに対する統制も更に厳しくなっている。

中国のメディア統制に対する国際社会の譴責の声が高まる中で、中国政府の手法を表彰している国家もある。フランス政府は、元・中国国家出版署署長である龍新民氏に対し、最高の栄誉である騎士の勲章を与えた。何清漣氏は、「フランス政府が龍新民に対して最高の栄誉である騎士の勲章を与えたことは龍新民が中国政府を代表して世論の統制を行うことに理があると認めるに等しく、厳しく責めを負うべきであると私は考えます」と述べ、フランス政府の対応を批判した。

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