ブログと日記文学 『土佐日記』

【大紀元日本5月27日】日記はマルセル・プルースト(フランスの作家)の描いた「失われた時を求めて」を回想する、自分自身への鎮魂の備忘録のようなものであるのかも知れない。『土佐日記』(935年成立)は、仮名文で書かれた日本最初の日記文学である。紀貫之が国司として赴任(930~934年)していた土佐から京へ帰郷する、55日間(12月21日~2月16日)の船旅を日記形式で綴った。

滞りなく役目を果たしたが、惜しむらくは、赴任先で幼子を亡くした事が貫之にとって耐え難い一大事だった。赴任先で知り合った人々の餞(はなむけ)のねぎらいに心温められて土佐を後にする。亡き子の面影をゆっくりとした船旅の哀歓に揺曳させながら、望郷の京へと心はやる想いが心なしか船足を急がせる。

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