ファンタジー:個人タクシー「金遁雲」の冒険独白(その4前編)

【大紀元日本6月23日】その日は朝から何やら胸騒ぎがして、夏場の早朝、午前五時頃に雲間から降りて来て、外苑の秩父宮体育館近辺で金遁雲号を停めていた。辺りはまだ人影がまばらで、もとより同業者たちの姿はなく、短パンを穿いた外国人女性がジョギングに興じていたり、呑気な愛犬家が散歩に出ていたりしているくらいだ。

するとしばらくして、丸メガネを掛けた教養のありそうな初老の紳士が後方から近づいてくるのが、バックミラー越しに映った。「・・・ほう、金遁雲交通・・・変わってるねぇ・・」。しばらくして窓ガラスをコンコンと叩くので開けると、「半日間、貸しきりたい・・」と言ってきた。何でも、この辺り一帯のゴミ集積所を回って欲しいのだという。「いいですよ・・」元より断る理由は何もない。

初老の紳士は車内に乗り込むと、さっそく料金の交渉に出てきた・・・。「あれ、それにしても何で、メーターが元なんですか」「いえ、これはそのう・・」「あ、分かった!中国人の観光客相手ですね・・・で半日ではいくらぐらいなんですか?」私は、背中に真摯な人間特有の澄んだ気を感じながら車を発進させ、「料金はなるべくご奉仕・・・ご奉仕させて下さい・・」。紳士は運転席にある私の写真を認め、「・・運転手、張帰山・・いい名前ですね・・うん?玉帝交通協会?そんな協会が東京にありましたっけ??」。

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