人権への訴求は、オリンピックの政治化ではない=趙紫陽元総書記秘書

【大紀元日本8月10日】北京五輪開催を前に、中国最高指導部などに公開嘆願書を連名で提出した中国知識人・鮑彤氏は、嘆願書の内容について、幾つかのポイントを挙げ、説明を行った。

鮑彤氏は、この連名公開状発起人の1人、故・趙紫陽・元総書記の政治秘書、中共政治局常務委員会秘書、元中央委員、中共政治体制改革研究室の主任などを歴任していた。1989年の「6・4天安門事件」後、彼は7年間の懲役刑を科され、投獄された。釈放後も長期軟禁され、外部との通信が途絶えていた。

中国知識人40人が、今回連名で提出した公開嘆願書の訴求について、鮑彤氏は次のように説明した。

我々のこの嘆願書の主旨は、オリンピックの人道主義精神を提唱し、如何なる人への差別にも反対し、公平にすべての人々に対処することを要求している。我々が提出した要求は、国際人権人道の原則に沿っており、中国憲法が定める公民の権利にも沿っている。中国の現実社会には、様々なマイナスの現象が存在しているため、我々は今回の公開嘆願を行った。中国当局の五輪のキャッチフレーズは「同じ世界、同じ夢」であるが、「同じ人権」も当然あるべきだ。もし、オリンピックでは人道が無く、人権も無ければ、このオリンピックは失敗である。しかも、オリンピック開催のために、蓄積した様々な社会的な対立も、中国の未来の発展に深刻な火種を残すであろう。

国際人権団体などは、普遍価値の人権基準に基づいて、北京五輪に疑問と非難を発しているが、これは非常に良い機会である。中国が世界に学び、世界の歩調に合わせる良いきっかけになる。中国はこの機会を失っては成らない。これは中国人の共同の願望である。

国際社会は中国の人権問題にもっと深い関心を示すべきである。中国で近代化を実現するには、まず人道の近代化から始めるべきである。人道の精神を世界の基準と同調させること、さらに最も重要なことは、人対人への態度、人対人への尊重である。工芸や、原料、科学技術などの物質的な発展だけではない。

我々は「どうして、オリンピックを政治化するのか」と非難されることがあるが、実際は、我々こそ、正にオリンピックの政治化に反対しているのである。政治が根源で、人への差別が生じ、人権への侵害が生じており、我々はこの現状に反対しているのだ。そのため、我々の嘆願は真にオリンピック精神に一致しているのである。如何なる人であろうとも、オリンピックの人道的な本質に反対しないはずだ。人道化を提唱することは、政治から遠く離れるためである。

我々はオリンピックの政治化を主張しないため、人道と人権の精神を唱え、良心囚人への大赦を要求している。彼らは言論、信仰、結社、人権抗争、その他の政治的な原因で、投獄されている中国の公民である。また、我々は、政治、宗教、信仰などの原因で国外脱出した中国公民が帰国できるのを要求している・・・。

人権を呼びかけることをオリンピックの政治化と言う人は、人権を踏み躙り、人を人間として扱わない者であり、彼らは自分の政治目的を隠ぺいし、回避するために、このように責任を転嫁しようとしている。

我々の人権、人道、自由に関するこれらの要求が政治化とされるならば、中国憲法自身が政治化ではないか。中国憲法は言論、出版、集会、結社、信仰などの各種の自由を認めているからだ。

最後に、鮑彤氏は、生きた法輪功学習者への臓器狩りの停止などを要求し、ギリシャのアテネで点火して始動する、世界5大陸数十ヶ国を経由するグローバル人権聖火リレーについて、「この活動を高く評価したい、これは非常に崇高な活動、非常に意義があり、喜ばしいことで、歓迎すべきことである。すべての人々が関心を示すべきだ。この活動が成功することを心から祈る」と話し、また「この活動の参加者全員による中国人権へのたゆまぬ努力に深く感謝したい。この努力は決して無駄にはならない。必ず、すべての国々、全人類の進歩を推進できる。中国の人権に関心を持つすべての方々に感謝したい。国外の活動は国内の状況に大きな促進作用がある。なぜならば我々は同一世界にいるからだ。グローバル化は避けられない流れであり、この過程において、人々の心は益々近づくはずだ」と力説した。

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