人魚に関する最も有名なお話は『アンデルセン童話集』の中の「人魚姫」でしょう。この人魚姫をモデルとした彫刻は、デンマークの首都、コペンハーゲンにあり、世界でも有名な観光スポットとなっています。人魚に関する伝説や神話はデンマークに限らず、世界各地で確認されています。
多くの神話や伝説の中で、当初、人魚は神として拝められており、最初の記載は紀元前8世紀頃のものでした。
最初、人魚は水神や、水中の生き物として出現しました。バビロニアではオアンネスという海神が崇拝されており、エリスレア海から陸上に上がり、人々に芸術と科学を説いたといいます。現在のルーヴル美術館にある8世紀頃の壁画では、オアンネスは男性人魚として描かれています。
遥か昔、シリア地方では、月神アタルガティスが拝められており、一般的には月が潮汐をもたらしていると認識されているため、古代の文学や芸術作品では、神の化身とされています。このアタルガティスは記載のある最初の人魚です。
また、日本や中国では、人魚だけでなく、竜宮城にまつわる神話も有名で、竜神や竜宮様の伝説が広く伝えられています。
ギリシャやローマ神話では、人魚に関する描写が多くありますが、厳密に言えば、男性の人魚です。
海神は主に半人半魚の姿として書かれており、古代では、海神ポセイドーンの息子であるトリートーンが男性人魚の代表的な姿とされていました。1963年の映画『アルゴ探検隊の大冒険(Jason and the Argonauts)』にも海神が現れ、トライデント(三叉槍)を持っています。太平洋の諸島やローマでは、トリートーンの骨や所持品とされるものが発見されていますが、学者は全て偽物であると判断し、人魚と同じように伝説上の生き物でしかないと考えています。
イギリス諸島にも独自の人魚伝説があり、アイルランド人は人魚を「メロウズ」と呼んでいます。シェットランド諸島では、人魚は「シートロウ」と呼ばれ、水中では魚のように自由自在に泳ぐことができ、陸地に上がると、尾びれが両足に変わり、走ることもジャンプすることもできます。
ゲルマン神話にも人魚に関するお話がありますが、しかし、彼らは深海ではなく、淡水区域で生活しており、人間を憎んでいると言われています。
(翻訳編集 天野秀)
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