トロイの木馬のお話(1)

紀元前13世紀、エーゲ海の東海岸から5マイルほどの谷の盆地で、小さな都市国家が静かに勃興しました。後の世代はそれをトロイ(トロイア)と呼びました。それは高い堅い石の城壁に囲まれた広い平野の中にありました。

トロイの城壁は敵の侵入を防ぐのに十分でした。市内にはたくさんの家が散らばって建っており、この都市国家の中心には宮殿、トロイの守護神のアテナ神殿がありました。また壁の外側には森林、農場、庭園などがあり、背後には雄大なアイダ山がありました。

トロイは繁栄し、人々はそれを非常に喜び、誇りに思っており、強力な城壁で囲まれたトロイは敵に侵入されることはないと信じていました。しかし、ある日突然、彼らの永遠の平和と幸福の夢は打ち砕かれました。

きっかけはトロイの王の長男パリスが引き起こしたある事件でした。同じギリシャの都市国家スパルタへの訪問中に、彼はスパルタ王の美しい妻であるヘレネーを密かに誘拐し、そのままトロイに帰国しました。

怒ったスパルタ王は復讐を誓い、王の兄弟である王のアガメムノンをトロイ遠征軍の総帥とし、ギリシャ諸国を団結させました。ミュケーナイの王アガメムノンとアキレウス将軍が率いる合同遠征軍は、軍艦千隻ずつのチームで、トロイに向けて出航し、オールを漕き、ついにトロイの平野の端の砂浜に上陸しました。

軍隊はテントを建て海のそばにキャンプし、長い間、壁を包囲し留まり、最強の兵士は街の攻撃と土地を略奪する準備をし、王の妻を奪った敵を厳しく罰する作戦を練りました。

このようにしてトロイア戦争は始まりました。最初の10年間、トロイはギリシャ軍によって、完全に包囲され、まるで鉄の壁が立ちはだかっているようでした。

ギリシャ軍は多くの厳しい戦いを仕掛けましたが、そのたびにトロイの防御壁によって撃退され、両軍に多くの犠牲者が出ました。しかしトロイ軍も侵入したギリシャ軍を海岸から追い出したものの、ギリシャ軍を降伏させ、帰途に着かせることはできませんでした。両者はただにらみ合って戦い、あっという間に10年が過ぎました。

そんなある日、思いがけない出来事が起こりました。

ある日、トロイの人々は城の衛兵の叫び声で目覚めました。衛兵は10年間、トロイを包囲していたギリシャの侵略者が一夜にして姿を消し、テントと焚き火がすべて取り除かれ、海岸は無人で静かだったと人々に告げました。皆はギリシャ軍がとうとう撤退したに違いないと信じて、歓声を上げました。

そんな中、ある男が、海沿いの小さな入り江の葦の茂みに奇妙な形の物体がぽつんと浮かんでいるのを見つけました。しばらくして陽が昇り、太陽が入り江を照らすと、その物体が灰色がかった茶色の体の巨大な木製の馬であることがわかりました。トロイの人々は、おそらく、ギリシャの侵略者、撤退する前に、トロイ軍と城壁の中の自分たちを脅かすためにわざとそれを残したのだろうと思いました。

城の衛兵は、数日前、この入り江の葦の陰にギリシャ軍が侵入し、そこで一日中、忙しくそうに、金づちを打ったり、のこぎりで木を切ったりする音が一日中していたのを思い出しました。その時トロイの人々は、この奇妙な木馬が自分たちを破滅させるものだとは誰も知りませんでした。

(翻訳・微宇)