農暦七月一日:「冥府の門が開く日」から生命の大切さを考える
【大紀元日本8月14日】毎年農暦七月一日(今年は8月13日)は、民間習俗では「冥府の門」が開く日だ。ここから一ヶ月「幽霊月」が始まる。言い伝えでは、冥府に迷う生命は大いに苦しんでいるため、毎年この一ヶ月だけ門が開放され、この世に出て気晴らしをすることができるという。中国の伝統習俗では、毎年農暦七月一日が来ると、結婚、家の購入などが「タブー」とされる。そのため、この間は関係業界は商売が低調になる。現代でも、「幽霊月」の影響は依然として大きい。
台湾文化大学歴史学科の古代文明研究者・周健教授は、幽霊や霊魂などの現象にも造詣が深い。彼は記者とのインタビューで、「兵役の間に急性肝炎を患い、“臨死体験”を経験した。身体からあらゆる排泄物を垂れ流し、所謂“三途の川”の一歩手前まで行って来た」と明かした。その後、周教授は、「死の問題」や「超自然現象」の探索に興味を持つようになり、より広い世界を見つけたのだという。
周教授によると、宇宙人は物質世界に、霊魂は精神宇宙に属し、それぞれは異なる時間と空間に属している。『A Brief History of Time』(邦訳:『ホーキング、宇宙を語る』)の作者スティーヴン・ホーキング氏は、あらゆる生命は異なる時間の中にあり、「創造者」は時間の外にいるという。
周教授によると、著名な科学者の多くは、晩年には唯物論を飛び越えて、霊魂の研究に傾倒した。例えば、ニュートンなどは晩年、錬金術や霊媒の研究に没頭した。英国には、世界でも最も古い霊魂研究所があるし、現代では、「超心理学」の領域の一つとして、学術的に霊魂研究が行われている。
科学的な実験によると、「霊魂」が肉体から離れると、死者の体重は数グラム~十数グラム減るという。これは霊魂に重さがあることを物語っている。西洋の「招魂術」研究では、死者の魂に「指紋」を残させることができる。その指紋は死者のものと比べることができるわけだから、適当に偽物を作るわけにはいかない。これによって、招きだした魂が死者のものであるかどうかが証明される。こういった例は枚挙にいとまがない。
周教授によると、「神」も「幽霊」も人が作った言葉で、それらはともに「霊」であるという。幽霊は低級の霊であり、神は最高の霊だ。イエスは、東洋の宗教では最高の神だとは見ていないが、キリスト教では最高神であり、イスラム教はイエスを預言者だとしている。
「幽霊」とは、一定の時間に闊歩するのではなく、毎日のようにいるものである。「霊界」と人間の「物質世界」とは重なっているため、我々は「幽霊」や「神」に遭遇するときもある。それらは、三次元以上の生命体なのだ。幽霊は、一般的には灰色で、立体感がない。霊魂学の研究によると、神は「九次元空間」より上に存在し、人知の範囲を超えている。例えば、アリは二次元の平面しか知らず、地球とはどういうものなのか想像しようもないのと同じである。
周教授によると、中国人には二大「タブー」があり、それは「性」と「死」だという。人は、死んだらどこに行くのだろうか?周教授によると、死後は人それぞれマチマチで、生まれ変わって転生する者もいれば、「枉死城」(恨みをのんで死んだものが行く場所)へ行く者もいる。また、転生できず、冥府に留まる者もいれば、消滅してしまう者もいる。そして、死後にどこへ行くかは、その人の「善」と「悪」による。それゆえ、人の肩書き、財産、学問などは、実は虚しいものであり、本当に大切なのは、一生のうちでどれだけ「善行」をしたかということだという。
2月28日にミス台湾の陳盈之が飛び降り自殺した。毎日泣き崩れるばかりの母親は、寺院に行き、娘の霊を降ろしてもらって交流した。亡くなった陳さんが母親に言うには、彼女の寿命は、本来は76歳だった。しかし寿命を迎えずに自殺してしまったので、現在は「枉死城」で毎日、飛び降り自殺を繰り返す刑罰を受けている。冥府の一日は現世の一年に相当するので、ここで51日間もその刑罰に耐えなくてはならない。だから、今では自殺したことを後悔している。彼女が出てきて母親と「面会」することができたのは、「土地神」にお願いして、冥府の「刑務官」に取り次いでもらった結果だという。
現在、自殺率が益々高くなっていることに、周教授は嘆息して次のように言う。「自殺した人は、死後必ず苦しみます。だから、どの宗教でも自殺に反対しています。正統な信仰を持つ人は、自殺などしません。戦時中の人が活きよう活きようと努力したのに、平和な時代に生きる人がどうして行き続けられないことがあるでしょうか?今の若者がちょっとしたことですぐ自殺するとは、本当に深刻な状況です。ですから、今こそ、生命の大切さに関する教育が大変重要です。子供たちに幼いときから、生命に関する幅広い知識を持たせ、生命の大切さを話して聞かせなければなりません」。