中国河北省で炭疽症感染、現地政府が情報封鎖

【大紀元日本8月15日】中国河北藁城市九門郷地区で伝染病が発生し、数十頭が死亡、人への感染も確認されている。現地政府は感染地を封鎖し、人の出入りを禁止している。本紙が現地住民からの情報提供を受け、調べた結果、伝染病は、炭疽症(たんそしょう)であることが判明。

炭疽症は、炭疽菌による感染症。ヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の感染症であるが、ヒトに感染する人獣共通感染症でもある。ヒトへは、感染動物との接触やその毛皮や肉から感染する。ヒトからヒトへは感染しない。

炭疽菌が顔、首、手などの皮膚の小さな傷から侵入すると、そこが潰瘍となり、高熱が出る。炭疽菌が空気とともに肺に吸入された場合、高熱、咳、膿や血痰を出し呼吸困難となる。炭疽菌が食物とともに口から入ると、高熱、おう吐、腹痛、膿や血の混じった下痢がおこる。ヒト・家畜を問わず、死亡率・感染力が高い。潜伏期間は1~7日間と短いが、培養しやすく、増殖力が強い。また、ペニシリン・テトラサイクリンなど抗生物質による治療は可能で、手遅れでなければ治癒する。

現地政府はいま、この伝染病情報を厳密に封鎖し、「だれが、この情報を外部にもらしたら、子孫三代食う飯がない」と恫喝しているという。一方、現地の住民が感染拡大を恐れて、大紀元にこの感染情報を告発し、外国メディアがこのことに関心を示し、一刻も早く、伝染の拡大を阻止するよう、国際社会に救援を求めている。

住民が提供した情報によると、8月3日から、現地で牛が相次ぎ死亡し、現地の防疫部門が検査した結果、炭疽菌による感染と判明した。感染地はいま、戒厳状態におかれ、消毒作業が施され、牛の死骸は焼却されている。約50頭の牛が死亡した。家畜の屠宰に専従する1人も感染したという。感染者は、感染時に体に傷があり、牛の血に触れたという。現地政府は感染地の住民に、同感染症の予防・判断の広報資料を配ったが、隣接地域の住民は感染情報を知らずに、予防措置を取っていないという。

本紙記者が現地の防疫機構など、多くの行政部門に電話取材したが、ほとんどの関係者が詳細を知らないとし、伝染病の発生を否認した。藁城市防疫ステーションの職員だけが、九門郷地区で炭疽症が発生していると認め、九門郷の政府役所は、伝染病の発生を認めたが、種類や感染の詳細情報などについて、説明を拒否した。 

台湾の中興大学獣医病理学研究所の劉正義・教授は、「炭疽症は法定伝染病であるため、発生した場合は、世界動物保健機構(OIE)に通報することが義務付けられている」と説明した。

日本では、1993年、オウム真理教は、亀戸の支部から炭疽菌を散布するバイオテロを実行したが、ワクチン並の毒性しかなかったため、失敗に終わった。また、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の後、炭疽菌の粉末(芽胞)が郵便で送られるという事件が頻発した。

(記者・高凌、李揚)
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