中国浙江省:観光名所西湖地区、別荘誘致で住宅を強制撤去

【大紀元日本8月17日】中国有数の観光名所・浙江杭州西湖周辺地区で、現地政府は別荘を建てるために、住民の家屋を強制撤去する事件が発生した。被害者の1人・葉さんの状況を追跡取材した。

杭州市西湖区転塘鎮大諸橋村の住民、葉金娣さんの地下1階、地上3階の自宅は8月9日、現地政府の主導のもとで、強制撤去された。

強制撤去される前の葉さん宅

当日午前6時40分ごろ、警察や、工事関係者、現地政府の幹部など約1600人が村に集結し、村に通じる道路を封鎖し、重機などで葉さんの自宅を強制取り壊した。当時、葉さんは病院に行っていたため、留守だった。葉さんの自宅に隣接する妹と弟の自宅前では、警察が駐留し、強制撤去作業を制止する親族が押さえられた。

強制取壊し作業の一部終始

村の至る所に、警察や、政府幹部などが駐留

午後になって、病院から帰宅した葉さんは、廃墟となった自宅を目の当たりにし、泣き崩れて、意識を失い、再び病院に搬送された。

廃墟となった自宅を前に号泣し、意識を失った葉さん

病院で治療を受ける葉さん

葉さんの妹は取材で、「破壊された建物から、鉄筋などの建材はトラック4台分あったが(中国では、建築ラッシュのため、中古の建材もいい値段で売れる)、全部持って行かれた。いわば押収だという。家財道具もだれに保管されているのか、分からない」と明らかにした。

家財道具や、建材などを運び出す大量のトラック

現地住民によると、現地は観光名所・杭州市の西湖周辺に位置、別荘の販売価格が高騰、1棟あたりの販売価格が2000万元(約3億3千万円)に達する。そのため、現地政府は、暴利を得るために、農民の野菜畑や、茶園(現地は、銘茶・龍井茶の名産地)などを強制押収・売却し、合わせて198棟の高級別荘を建設した。いまでは、農民の住宅地までが標的になったという。

今回強制撤去された葉さんの自宅は4年前に建てられたばかり。「この家を建てるのに、夫婦のこれまでに蓄えてきた全財産を注ぎこんだ」という。

葉さんが陳述によると、自宅が建てられた翌年2004年、現地政府から強制撤去が通達された。自分の財産を守るために、葉さんは抗議行動に出たが、2004年、自宅で警察から暴力を受け、背骨2本が折れた。父親も耳の鼓膜が破れるほど殴られ、意識を失ったことがある。北京で陳情を試みる葉さんの夫・斯明栄さんは86日間監禁された。母親も同じく陳情を試み、現地政府に逮捕すると脅迫されため、全国各地を転々し、3年間も放浪していたという。

本紙記者が浙江省国土庁執法局の局長・鐘天明を電話取材した。同局長は、今回の強制撤去は合法であると繰り返し強調した。

隣接する葉さんの妹と弟の自宅も、強制撤去の対象である。北京へ行き、陳情するのを阻止するため、現地政府は24時間、妹を自宅に軟禁している。葉さんはすでに退院したが、家財道具、自宅をすべて無くしたため、一家は弟の家に身を寄せているという。

中国各地で、地方政権が暴利を貪るために、土地の強制売却や、家屋の強制移転などを行っている。国外の人権団体「民生観察」の責任者は、「これは個別の中国共産党幹部による違法行為ではない。中共の独裁体制が生み出した既得利益集団の黙認・保護を受け、このような暴力行為が続けられている」と非難した。

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