北京の大気汚染、改善策を疑問視=WHO専門家

【大紀元日本8月22日】世界保健機構(WHO)の医学専門家コルザノフスキ氏はこのほど、北京市の大気汚染は、来年のオリンピックに参加する選手の体調に影響するだけではなく、観衆にも危害をもたらすと警告した。また、北京市当局は排気ガスの排出削減に着手しているが、同氏は、開催までの1年間に、大気汚染をどれほど改善できるのか疑問視している。

コルザノフスキ氏はBBCの取材で、「(北京市の)汚染された空気を吸い込むと、深刻な病気を引起す可能性がある」と述べ、特に心臓病患者は、北京五輪観戦のための渡航を見直しすべきであると警鐘を鳴らした。

世界銀行が公表した報告書によれば、全世界で大気汚染が最も深刻とされている20の都市のうち、16は中国にある。

それについて、前述のコルザノフスキ氏は、「欧州の判断基準に従えば、これらの都市の大気汚染水準が相当高い。アジアの基準に照らしても、中国都市の汚染も相当深刻。さらに、北京はその中において、大気汚染状況が一番ひどい」と指摘し、中国都市部の大気汚染最大の問題点は、大気中に浮遊している微粒子が、人間の肺に侵入することである。。さらに憂慮すべきのは、これらの微粒子は人体のその他の器官、例えば、心臓の血管に入り込み、血液の流れに伴って人体を周遊する。長期的にこのような環境で生活すると死亡率が高くなる。選手は精力的な運動するため、吸入する空気の量も非常に多い」と警告した。

また、コルザノフスキ氏は、北京五輪観戦を計画している喘息、心臓病などの持病を持つ人について、「空気中に浮遊している微粒子が原因で、病気が再発する可能性が高いため、十分に熟慮する必要がある」と話した。

国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は、来年の開催期間までに北京の大気汚染状況が改善されなければ、一部の競技を延期する可能性を示唆していた。

BBCの報道によれば、「大気汚染による影響を考慮し、自国選手の北京入りをギリギリまでに遅らせる」と一部の国は表明している。

一方、北京当局は大気汚染の改善を試み、8月17日から自動車の流量を抑える対策を実施し、工場の移転や水処理施設の整備などの環境改善措置を計画している。

コルザノフスキ氏は、これらの措置の実効性を疑問視し、今後1年間で、北京市の大気汚染を著しく改善するのは極めて困難と述べ、北京市の大気汚染は現地の問題だけではないと指摘し、「空気中の微粒子が数千キロも漂流できるため、例え北京市の自動車流量を減少させることで、空気の品質を改善できたとしても、周辺地区から流れてくる汚染された大気を防ぐことはできない」と分析した。

(翻訳・叶子)
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