蜜蜂集団消滅、中・豪輸入蜂製品のウイルスか=米誌

【大紀元日本9月8日】米「サイエンス( Science)」誌最新号では、科学者たちは北米で少し前に起きた蜜蜂が突然に消えた「蜜蜂集団消滅(Colony Collapse Disorder,CCD)」事件の「元凶」を見つけた可能性があると発表した。その「元凶」とはイスラエル・アキュト・パラライシス・ウイルス(IAPV)で、主に中国から輸入されたローヤルゼリーまたは、オーストラリアから輸入されたハチミツ、或いは両者からのものに由来すると指摘した。

*輸入蜂製品が源か

ペンシルバニア州立大学の研究チームでは、IAPVウイルスは蜜蜂の羽に対して痙攣を引き起こさせて不随状況をもたらし、死に至らしめることを明らかにした。研究チームによると、IAPVウイルスは蜜蜂が集団に消滅した原因として、直接に証明していないが、同ウイルスの存在が蜜蜂集団消滅との相関関係度が96%を越えているからだという。それによると、仮に米国のある地区でこのウイルスを発見すれば、同地区における蜜蜂集団消滅率が96%に達することを意味するという。研究チームは、IAPVウイルスは米国内に数年前から存在しているため、ウイルスがすでに変異した可能性があると指摘した。

チームはまた、IAPVウイルスは蜜蜂集団消滅をもたらした唯一の原因ではなく、寄生虫および一部の農薬使用がウイルスの活動を助長させた可能性もあるとも指摘した。チームによると、少数ではあるが、一部のIAPVウイルスの蜜蜂は生存しているからだという。チームは、豪州にある一部の蜜蜂にもIAPVウイルスを持っているが、大規模の蜜蜂消滅はないことを挙げた。また、豪州にないバロア・ダニ(※)がIAPVの「共犯」である可能性も高いとした。さらに、農薬の大量使用は蜜蜂がIAPVに対する抵抗力を弱めたと指摘した。

研究チームは、中国から輸入されたローヤルゼリーまたは、オーストラリアから輸入されたハチミツがIAPVウイルスの源だとみている。米農業省(USDA)は中国および豪州の蜂製品の輸入禁止を検討していると同時に、抗IAPVウイルスの蜜蜂品種改良に取り組む方針を示した。イスラエルではすでに、少し前から中国および豪州蜂製品の輸入を禁止したという。

*米農業を左右する蜜蜂

米国の養蜂業者は2004年、蜜蜂が集団で神秘的に消えたことに気づき始め、今年まで、すでに約半数の蜜蜂が消えてしまい、被災地区における損失率は90%に達したという。米国におけるCCD感染はすでに27州に波及し、そのほかに、カナダ、ブラジルおよび欧州の一部地区も類似現象が現れた。

人類の食物の3分の1が昆虫の介在による受粉で実る植物に由来しており、その内、80%の受粉は蜜蜂が担っている。米農業省の推測によると、蜜蜂の受粉で作られる作物は146億米ドル(約1兆6936億円)に上るという。故に、米国内の蜜蜂数量が継続的に減少すれば、米農業は深刻なダメージを受けるとみられる。

CCD感染発生以来、研究者たちは、ウイルス説、真菌説、化学汚染、携帯電話の電波、温室効果、遺伝子組み換えなどを含み、多くの理論に基づいて対策を講じようとしているが、いまだにCCDに対する予防および解決はできていない。

(※)バロア・ダニは、蜂蜜ミツバチの外部に寄生する寄生虫で、長さ1・5mm。バロア・ダニは、成熟したミツバチ、幼虫と蛹の血を餌にし、ミツバチの寿命を短くし、組織に損傷を与える。また、ウイルスを運ぶことによって、病気をもたらす。多量の寄生はミツバチの死亡率を上昇させて、コロニーを弱める。(ヴァージニア工業大昆虫学部資料より)

(記者・海寧、翻訳・豊山)
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