遺伝子治療の新しい挑戦
【大紀元日本10月31日】アインシュタインが1905年に相対性理論を提出したことによって、後続の物理学研究に多くの啓発を与え、原子爆弾の誕生に導いた。これによって、20世紀は「物理学の世紀」といわれた。近年、遺伝子研究の進歩が目立ち、2007年に、いくつかの画期的な医学研究成果が上がり、「奇跡の一年」といわれている。研究が進むにつれて、癌、アルツハイマー病、パーキンソン氏病などの難病に対して、遺伝子レベルの原因究明と治療方法の開発に新しい希望を与えた。これにより、21世紀は「生物学の世紀」になりそうである。
遺伝変異に関する新しい知見
これまで、遺伝子が遺伝の最小単位であり、あらゆる遺伝性疾病は単一の遺伝子の変異によるものだと認識されていたが、最近の研究では、DNA二重らせんを構成するA、C、G、Tの四種塩基の一つが置換されることによって遺伝疾患が発生しうることが分かった。
もう一つの重要な発見は、RNAi(RNA干渉)である。これは、本来無用の「ゴミ遺伝子」だと認識されていたが、実際には、これはDNAの現れ方を調節する作用があり、放出するRNA分子によって、DNAの現れ方を抑制することができる。もし、人類がこの抑制作用を制御することができれば、多くの不治の病は、遺伝子治療によって予防可能になるという。
コンピューターの発達とともに、遺伝子の研究も飛躍的に進歩
90年代後半から、コンピューター技術を利用した遺伝子の解読が行われるようになってから、遺伝子の研究は飛躍的に進んできた。機械解読だから、24時間無休で一年中作業を続けることができる。これによって、一度に4万人、50万項の遺伝データを同時に分析して、疾病遺伝子を探し出すことができるようになった。
この新しい技術を利用して、アイスランドの科学者・スチーブンソン氏は、「deCODE遺伝子データベース」を作り、10万人以上のDNAデータを蓄積し、これらの遺伝情報を交互対比した結果、すでに28種類の疾病の遺伝情報を見つけることができた。これらの疾病には、緑内障、統合失調症、糖尿病、心臓病、前立腺癌、脳卒中などが含まれている。
個人遺伝子マップの作成が可能に
技術の進歩により、個人の遺伝子マップの作成がすでに可能になったが、その費用は、一人200万ドルかかる。この費用では、とても実用化できない。だが、10年以内にその価格は1000ドルまで下がると予測されている。そうなると、患者は自分の遺伝子マップをもって受診し、医者は患者の遺伝子マップの情報に従って治療を施すことができるようになるかもしれない。