中国裁判所:公安部元部長・周永康に対する陳情者の告訴、異例の受理
【大紀元日本11月4日】上海市市民が中国公安部元トップの周永康=中国共産党政治局常務委員=を告訴する訴状が9月下旬に受理されたことが判明した。中国公安部は10月16日(党大会開幕の翌日)、原告に行政答弁書を郵送した。最高指導部幹部に対する市民の告訴が受理されたのは、中国共産党政権史上初めて。
原告の童国菁さん(上海市在住)は、大紀元の取材に応じ、告訴の経緯を話してくれた。
童さんは1990年3月に、所有する不動産が強制押収された上、当局が提供した臨時住居もその後強制的に取り壊された。問題解決を求め、童さんは2003年から、中央への陳情を試みてきた。幾度も逮捕されたり、暴行されたりしているうち、自身の合法権利を守るために、独学で法律の勉強を始めた。2005年末、童さんは陳情のため北京市に滞在していた期間中に、上海市政府北京駐在所の関係者から暴行を受けた。直後に、彼は北京市公安局に通報したが、対応してもらえなかった。そのことについて、童さんは当時の中国公安部部長・周永康の行政不作為を訴え、各裁判所に告訴し続け、最後に、北京市第二中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)に訴状を提出した。一年後の今年9月20日、同裁判所は、童さんの行政訴訟を受理した。国内において、国民による中共最高指導部幹部の告訴が受理されたのは、初の例である。
訴状受理について、童さんは、「司法は今、どうしようもなく腐敗し、どこにも希望はないかのように思える。人権も深刻に侵害されている。しかし、これは暫定的なことと認識している。この国と民族には、まだ希望があると信じている」と述べた。
また、童さんは、上海の人権弁護士・鄭恩寵氏に弁護を依頼したという。同弁護士は本案の受理について、陳情者が法律に基づいて自己の合法権利を守る戦いの勝利であり、中国国内において、格別な意義を持つと指摘し、陳情者による訴訟の嵐を引き起こす可能性を排除できないことを示唆した。
鄭恩寵(前右2)と陳情者たち(大紀元)
同弁護士は、「毎年、北京の中央指導部に陳情を試みる人は、延べ数十万人に達する。陳情を阻止する行為のために、命の安全が脅かされている。上海だけでも数人が亡くなった。本案の一部終始を明らかにできれば、勝敗を問わず、例え、判決書が下されるだけでも、我々にとって一つの機会である」と述べた。
上記の段さんの葬式に参列した陳情者・陳小明さん、リンチを受け2007年7月1日に死亡(大紀元)
2006年2月22日上海市の政府関係者に監禁・リンチされ、3月19日、病院で死亡した上海市の陳情者・段恵民さん、享年52歳(ネット写真)
当時の公安部のトップ周永康について、同弁護士は、「彼には陳情者の安全を保護する義務がある。公安部は公民を守る職責を果たしていない」と分析、法的裁きを受けるのは至極当然との見解を示した。また、本案の法的審理が健全に行われるかどうかについて、第17回党大会を終えた中国当局が交わした民主化実現の約束を試す試金石になる、と話した。
周永康は江沢民・前国家主席の親戚、江沢民派の中心人物、公安部の元トップを務めていた。現在は、中共政治局常務委員である。