中国ガン村死亡日記:爆発が相次ぐ環境汚染の爆弾

【大紀元日本11月20日】中国の沿海の低地は、GDPを創出するのと同時に、懸念すべき事実をも創り出した。500kmにわたる東部沿海地域の土地では、地方政府官員が重工業を誘致し、豊かな財政収入を蓄積する一方で、環境汚染という時限爆弾が爆発を始めている。

2007年5月、中国国土資源部は、驚くべき数字を公表した。中国における汚染を受けた耕地は約1.5億ムーであり、深刻な状況となっている。また、1997年以来、ガンは中国人の死因の第1位となっており、毎年130万人がガンで死亡している。

「南方都市報」はこのほど、浙江省蕭山市南陽鎮塢里村の女性・韋東英さんが、2003年12月29日から5年に渡って記した「環境保護日記」について報じた。韋さんの日記には、塢里村が環境汚染に浸蝕され、汚水に囲まれた日々の中で、村人が一人、また一人とガンに罹り、死んでいく様子が記録されている。

韋さんが住む鎮塢里村における最初のガン死亡者は、夫の弟であり、1995年に遡る。日記には次のように記されている。「去年は8人を埋葬したが、全てがガンであった。乳腺ガン、食道ガン、肝臓ガン、肺がん、すい臓がん等の発生度が高い」。

日記に記される死亡村民の名前はますます多くなり、死亡者の年齢はますます若くなっていった。2007年4月19日、ガンを患った26歳の若者の病状に言及した箇所に、次のような記載がある。「今年1月に亡くなった朱少萍の妻を加えれば、72人目に違いない」。韋さんによると、この死亡者は48歳の女性で、不治の乳ガンであった。

利益のために築かれたガン村が村人を害する

江蘇省阜寧県楊集鎮東興村では、2001年以来、80人余りがガンで亡くなった後、段徳桂さんら村民は、村の傍にある巨龍化学工場を江蘇塩城法院に告発した。しかし、村民らが村から取水した水のサンプルを上海で化学検査した結果は法院に採用されず、原告は敗訴した。

「2000年4月、巨龍化学工場が着工しましたが、この工場は、農薬、除草剤などを生産するためのもので、農作物、人体への影響が最も大きいものだったのです」。段さんによると、村支部書記は、隣の建湖県から企業家を探して資本を誘致し、この工場を通じて、貧困の村に富をもたらすことを望んでいた。

その後まもなく、巨龍化学工場を誘致した村支部書記は、ガンに罹り、亡くなった。村人は、「自業自得だ」と語る。

しかし、それでも、蘇北地方の官員らは、蘇南、浙江の工場の誘致を進め、既に土地を準備し、道路を開通させ、ひいては、投資した社長のために、不満を持つ民衆を弾圧すらした。

多くの化学工場が東興村の周辺で拡張工事をした後、段さんの同郷人の少なくとも6人がガンで死亡した。1回目の訴訟に失敗した後、大多数の民衆は耐えることを選び、段さんら数人だけが上告することを堅持した。段さんは、このために数万元の借金をした。

消失した魚介、良心に背いて外地に販売される有毒米

巨龍化学工場が稼動して半年後、蘇北平原の低地にある村の堤防の周辺で、「むせるような異臭」が発生し始めた。村民は次のように語る。「当時、化学工場の附近に浴室があり、河川の水を暖めて使用していました。この水で体を洗った村民の多くは、全身が痒くなり、めまいがし、中には、浴槽に倒れ込む者もいました」「村では、10人余りの者が工場で働いていましたが、1人は、化学原料の漏出によって亡くなりました」。その後、多数が工場から逃げ、ここで働かなくなった。

東興村の周囲の河道において、魚介類が全くいなくなった。村民の劉文達さんは、巨龍化学工場から遠くないところにある7ムー余りの養魚池の養殖を請け負ったが、化学工場の裏手にある一つの小さな排水溝から、汚水がこの池に流れ込んでいた。「3000斤半(斤=0.5キロ)の成魚が死に、危うく破産するところだった」と語る。

「私たちは良心に背きました。田で育てた米を自分では食べず、これを外地に売り、外地から米を買って食べました」。段さんが当時を回想して語ったところによると、ある販売業者は、極めて安い価格で東興村附近の数ヶ所の村から米を買い取り、数百里離れた楊州市に転売した。この米は、当地の商工局の検査で、規準を大幅に上回る重金属の含有量が検出された有毒米だった。

汚れて悪臭を放つ唯一の灌漑水源

中国地質科学院現代生態環境地質研究センターの林景星・教授は、東興村に類似した「ガン村」を数多く見てきた。例えば、山東省肥城市安駕庄鎮肖家店村では、近年で40人余りがガンで死亡している。これもまた、典型的な「ガン村」である。

林教授が肖家店村を訪れた際、河川の水は鼻を刺すような臭いを発し、水面は黄褐色に変わっており、水面には油に覆われた泡が漂っていた。まさに、こうした水が肖家店村の周囲を巡っているのである。この水は、汚染され、悪臭を放っているにもかかわらず、村の唯一の灌漑水源となっている。

水が最も直接的な汚染の伝播ルート

林教授は、肖家店村の土壌、野菜や毛髪を実験室に運んで検査を行った。その結論として、検査物は、いずれも劇毒元素に汚染されていた。このうち、野菜のカドミウム含有量は規準の9倍、クロムの含有量は規準の12倍であった。また、河水から検出されたマンガンは規準の57倍であったが、過量のマンガンは、まさにガンの原因の一つである。

林教授によると、「規準超過が比較的ひどかったのがカドミウム。カドミウムは劇毒元素で、摂取量が規準を超過することで、胃腸ガン、食道ガン、肝臓ガンなど様々なガンを引き起こす」という。

研究を通じ、林教授は汚染の伝播ルートを発見した。「水質の汚染が土壌の汚染を引き起こし、これが、直接、野菜などの食品を汚染し、最終的に、人がこれらの食物を摂取することで、ガンをもたらす劇毒物質が人体に進入する」ことがわかった。

絶えず増加する死亡者リスト

上述の東興村では、40~50歳の村民が、ガン発病者の中心となっている。このほか、10人以上の者が半身不随となっている。

東興村の村民は、2000~2005年の間、当地のガン患者(死亡者及び生存者)に関する統計を取った。このうち、死亡者、生存者を含むガン患者は合計99人で、年を追う毎に増加する趨勢にある。うち、食道ガンは48人で約48%を占め、肺ガンは18人で約18%、このほか、肝臓ガン14人、胃ガン13人、その他は腸ガン等のガンであった。

浙江省、江蘇省、山東省のほか、陝西省華県瓜坡鎮嶺村もまた、ガン村の一つである。1974年に食道ガンが発生して以来、村にある30世帯、154人のうち、既に59人が死亡しているが、うち36人がガンで死亡しており、死因の61%を占めている。村全体でガン患者が発生しなかったのは、わずか4世帯であったが、この世帯は既に絶えていた。この他、寧夏、内モンゴルなどの地も、汚染され始めている。このように、ガン村は絶えず増加を続けている。

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。