中国の環境汚染はGDPを消費=世界銀行

【大紀元日本11月22日】世界銀行によれば、中国の大気と水の汚染は合わせると毎年国内総生産(GDP)の6%近くを消費しており、大都市の大気汚染は人々の呼吸器系疾患の主要な発病原因となっているという。評論家によれば、経済目標の追求や環境保護軽視といった短絡的な方法は毒薬を飲み、のどの渇きを癒すようなもので、将来子孫に大きな災いを残すだけでなく、国際上でも公害問題を造りだしている。

世界銀行によると、大気汚染だけでも中国のGDPの3・8%を消費しており、多くの疾病を引き起こし、多くの人を死に至らしめていると警告を出している。同銀行の中国問題担当職員によれば、大気汚染と水汚染のコストは合計するとGDPの5・8%、約1000億ドルになり、大気汚染のコストは水汚染よりも多いという。また大気中の微粒子が健康にとっての最大の脅威だと指摘している。

中国国家環境保護局と世界銀行は最近、合同で汚染状況の評価を行った。四川省成都で行われた中国環境投資研究討論会において、世界銀行の中国問題担当職員が今回の合同評価で発表されたデータを引述し、特に大都市では大気汚染が癌を含む肺部と呼吸器系統の疾病の発病率を増加させており、これによる労働者の欠勤や学生の欠席率が増加していることを挙げた。

AP社によれば、中国の大気汚染は太平洋対岸の米国西海岸地区に雲の厚さの増加やオゾン層の高度上昇などの影響を及ぼしている。この大気汚染の帯は米国へ向かう途中、日本と韓国に酸性雨を降らせ、さらに石炭を生産する山西省太原から米国までの通過地区に健康問題をもたらしているという。

中国の急速な経済発展は同時に中国の温室効果ガス総量を急激に上昇させている。中国の二酸化炭素排出量は現在米国に接近あるいは超えており、二酸化炭素排出量の超大国として国際社会の注目を集めているという。

米国ジョージア工科大学(Goergia Insitute of Technology)国際問題専門・王飛凌教授は、「過去十数年来、中国の環境問題は国内外の人々がみてもわかるように、中国の経済発展は環境を犠牲にする傾向があり、国民の健康状態にも悪い影響を及ぼしている。もたらされた経済上の損失は巨大で、同時に国際社会の注目を引いている」と話した。

また、「もたらされた経済損失、中国経済への損失、国際イメージの損失は、中国政府に中国経済発展全体の戦略問題、即ち環境犠牲でGDPの増加をめざすこの戦略を続けるかどうかを再考させている。中国の諺には「飲鴆(ちん)止渇(鴆毒を飲んで渇きを癒す)」(※)とあるが、目先の利益追求だけで、遠い将来を顧みないという意味だ。こうした戦略は中国国民の心身の健康にはぜんぜんよくない」と語った。

(※)「鴆(ちん)は伝説上の毒鳥。その羽毛を浸した酒を鴆酒といい、飲めば死ぬと言われた。この事からここでは、目先の利益を追求し、長期的な利益を顧みない意味に使われている」。

中央政府の環境保護対策を執行しない地方政府

王教授は、中国政府が経済発展を優先しているのは、環境保護の重要性を理解していないのではなく、中央指導者クラスが昇進する上で、行政上の業績が求められ、同時に国際市場産業に迎合し、就業問題を解決し、さらに国民に眼前の実利をもたらすことが要求されたからであると話している。

王教授は、末端の政府職員は環境汚染を顧みておらず、GDPの数字を高くすることで抜擢や重用されることをねらい、個人の昇進に重きを置いているとし、このことは北京政府が制定した環境保護対策と法規執行上でさらなる困難をもたらしていると話した。また、「もしそれ相応の政治体制がなく、各地で影響を受けた民衆が発言する権利がなく、問題解決のための正常なルートがなければ、北京から伝えられた命令はただの紙面上の文にすぎず、美しい希望でしかなくなってしまう」と話している。

新華社によれば、中国国家環境保護総局局長・周生賢氏は先日、全国河流汚染防治会議上で今年の第三季までの、中国の汚染物質二つの総排出量はそろって下降しており、二酸化炭素の下降率は1・81%、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)も0・28%下降しており、汚染排出減少作業としては喜ばしい進展を見せていると話している。しかし同時に周氏は、現在の形勢は依然として厳しく、環境保護任務は繁雑で重大な任務であることを強調し、中国第11回5年計画の目標実現は楽観視できないと語った。

(翻訳・坂本、編集・金本)
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