【草木染めの植物】柿(カキ)

【大紀元日本12月21日】日本の山野に自生しますが、栽培種も多いカキノキ科の落葉高木。甘の「富有」「次郎」を始めとして、渋柿の「西条」など種類も多く日本の代表的果実です。古代より「信濃柿」などの未熟な青い果実から採る柿渋は、布や紙の防腐と染色に利用され、今は柿渋石鹸が流行です。柿を食べた後の蔕(へた)はそのまま乾燥し、柿蔕(してい)という生薬に、葉は陰干ししてお茶とします。ビタミン類も豊富に含まれる健康食品です。

また、黒柿は用材から工芸品にまで幅広く利用され、希少価値が高く珍重されています。

【薬用効果】柿蔕は胃に働き、気の滞りを解消します。特徴的な効能はしゃっくり止めです。一日量は乾燥物3~12gを煎服します。干し柿の表面の白い粉状のものは柿霜(しそう)といい、加熱して飴状にしたものが柿霜餅(しそうぺい)で喉の痛みや咳止めに用います。

柿の若葉は2~3分蒸した後乾燥してお茶として飲むと止血作用があり、高血圧にも効果があるとされますが、飲みすぎると便秘になる事もあるので注意が必要です。(一日量は乾燥物約10g

【食用】甘柿の実はそのまま食しますが、羊羹などの菓子にも加工されます。渋柿は皮をむいて干し柿にして、またアルコールやドライアイス等で渋抜きします。干し柿は贈答品や新春のお飾りにと年末・年始には欠かせない果物の一つです。また、干し柿を軒に吊るした「柿すだれ」は晩秋の風物詩となっています。柿の葉寿司が奈良県や石川県の郷土料理として知られています。

【染色用】緑葉と樹皮が染材料に利用されます。細断後、熱煎して染液とします。アルミ・錫・銅媒染で黄味の茶色、鉄媒染で茶味の鼠色に染まります。

柿渋は青い実を砕き、搾り汁を自然発酵させた上澄液を用います。防水・防腐・防虫効果があり、型染めに使う伊勢型紙には塗布します。布の染色には上澄液に浸けて天日干しすると発色し、明るい茶から濃茶色に染まります。味わいのある色に染まるため、洋服や袋などの小物が作られ好評を得ています。

西条柿(撮影=大紀元、2008年10月30日)

富有柿(撮影=大紀元、2008年10月30日)

(文・ハナビシソウ)