【生命のなぞ】寿命を決定するものは何か?

【大紀元日本2月10日】寿命と健康は常に人々に注目されている話題である。古代の養生法から、現代の健康理論までさまざまな考え方があり、現代医学は分子レベルから細胞と遺伝子の影響を研究した結果、人々の想像と違って、事実上、遺伝子は人間の寿命に対してさほどの影響力を持っていないことが分かった。

2006年8月31日『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された研究報告によると、米国ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外に住んでいるJosephine Tesauroさんは、92歳の高齢にもかかわらず、腰が真っ直ぐ伸びており、歯も丈夫で、健康の問題もなく、自分で車を運転して親友を訪問したり、教会に行ったり、買い物に行ったりしている。しかし、彼女の一卵性双生児の姉妹の情況は全く違い、大小便を失禁し、股関節に人工関節を入れ、視力を殆ど失い、認知症に罹っている。

老化問題を研究する専門家たちはこの症例を知って不思議に思った。この双子の姉妹は、遺伝子がまったく同じで、同じ家庭で育てられ、同じ地方で生活してきたのに、どうして2人の老衰と健康情況がこんなにも違うのか?

それでは、老化と寿命を決定する要素は何だろうか?この問題に対して現代医学の説明は何度も変わり、いくつかのバージョンがある。数十年前に、科学者達は環境、食事、運動、医療、衛生状況が老衰と寿命に決定的な影響力を持つと信じていた。その後、専門家達はまた遺伝子に注目し、遺伝子の違いによって、如何に不健康な生活をしていても長寿の人がいれば、そうでない人もいると考えるようになった。今でも、この遺伝子の学説は依然として強い影響力を持っている。

双子に対する調査研究

デンマークの疫学教授Kaare Christensen氏と共同研究者は、デンマーク、フィンランド、スイスの3カ国から、1870年から1910年までに生まれた同じ性別の2万人の双子のデータを収集して分析した結果、遺伝子による寿命への影響は、予想より遥かに小さいことが分かった。たとえ遺伝子が同じである一卵性双生児であっても、寿命のばらつきがかなり大きかったのである。

別の研究グループは、北欧で生まれた4万5千組の双子を対象に、発ガン率について調査した。その結果、多くの癌の種類の中で、乳癌、前立腺癌と直腸癌は遺伝子と関連しているように見えるが、その度合いはそれほど大きくなく、たとえ同じ遺伝子を持っている一卵性双生児の一方が癌に罹っても、もう一方が癌になる確率は15%しかないと分かった。

この結果から見れば、遺伝子から癌の発生原因を解釈することは、あまり合理的ではないと研究者たちは認識した。米国国家癌研究所(NCI)のRobert Hoover氏は研究報告の中に、次のように書いた。「限定されているデータ(例えばゲノムの構成)から病気の発生率が予測できるという考え方は、明らかに問題がある」。

これに対して、デンマークの疫学教授Kaare Christensen氏は次のように指摘した。「寿命の長さに関して、科学者たちはその確率をある程度予測できるし、肥満や喫煙などが寿命を短縮することはある。しかし、具体的に一個人の寿命を予測することは不可能である」。

天命はあるのか

古代の賢人達は現代の実証科学と違う考え方で、生命、宇宙と空間について探求した。彼らは人の寿命と運命は、その人の道徳心と密接に関連しており、善行を行い、徳を積む人は寿命を延長でき、子孫に福を与えることができると信じていた。

古書の記載によれば、三国時代の諸葛孔明は、戦争で多くの人を殺したことにより寿命を減らされた。どのように減らされるのか、誰がこれを管理しているのか、もしかすると、天の采配によるのかもしれない。故に古人は「人の運命は天により定められている」と言い伝えた。

(文・周正、編集翻訳・文子)