平均年収の差が55倍に、中国、貧富格差が拡大

【大紀元日本8月1日】中国国内の民間研究機関の最新報告によると、現在中国大陸の高収入家庭と低収入家庭の平均年収の差は55倍に達し、政府が公表した21倍の数字をはるかに上回っているという。専門家は、政府が公表した数字のうち、高収入家庭の収入に関する数字は現状から大きくかけ離れており、腐敗などによって不正に入手した収入と一部の人のグレーな収入が、実際の数字との差を生んだと見ている。

NPO組織である民間研究機関・中国国民経済研究所の王小魯副所長は、最近発表した研究報告「国民収入の配分状況とグレーな収入」の中で、中国政府が発表した国民の平均年収の調査データは現状から大きくかけ離れており、高収入層の数字は実際よりはるかに下回っていると述べた。これは高収入層から真実のデータを収集しにくいことが原因だと見ている。特に高収入層に大量のグレーな収入があるため、その数字の入手が困難である。グレーな収入とは、不法収入、法令に反する収入およびその他の入手ルートが不明な収入を指す。

王副所長は2005から2006年にかけて、都市部の各収入層から抽出した2000人の家庭支出を調査した結果、10%の高収入層の平均年収は130万円であり、政府側が公表した39万円の3倍に達するという。政府側の収入調査に漏れているグレーな収入は57.2兆円に上り、中国の2005年度のGDPの24%を占めている。

報告によると、調査漏れの現象は主に高収入層に起きており、全調査漏れ金額の四分の三を占めている。このことから高収入層に大量のグレーな収入があることが分かった。現在中国の都市部で高収入家庭と低収入家庭の平均年収の差は31倍であり、政府が発表した9倍よりはるかに高い。さらに、都市部と農村部を合わせると、全国の高収入家庭と低収入家庭の平均年収の差は55倍に達しており、政府が発表した21倍とは大きくかけ離れている。

中国労働者問題の専門家でフランス在住の蔡崇国氏は、中国の平均年収に格差を生む要素として「経済構造が不合理なため、市場経済が健全ではない。中国の市場経済は名ばかりのもので、銀行や電力はすべて国によって独占されており、これらの業界に就業した人は高収入を得ている。しかし、その収入にはグレーゾーンの幅が広くて、実情は誰も知らない」と分析した。

報告によると、都市部の高収入層にあるグレーな収入についてその入手ルートをまだ明らかにされていないが、主に次の原因が考えられるという。

まず、政府から割り当てられた予算の管理に大きな不備があり、資金の用途が明確にされておらず、資金の乱用と流出が深刻化している。二つ目は金融腐敗が普遍的に存在している。三つ目は行政の管理部門は手中の権力を利用して私腹を肥やしている。四つ目は土地売買における不正行為によって不動産会社は暴利を貪り、関係の政府幹部が見返りとして受け取った金品がグレーな収入となる。五つ目は電力、通信、石油など国の独占企業に就業している従業員は2005年現在、833万人に達し、全国労働者数の約8%を占めているが、全収入は13億円にも上り、全国労働者の収入の55%を占めている。

アメリカ在住の経済学者程暁農氏は、業界の違いによって収入にも当然ある程度の差があるはずだとしながらも、「公務員は給料明細に記載されていない収入を得ている可能性があり、国家統計局は調査の際、意図的にこの部分を抜かしたと考えられる」と指摘した。

研究報告は最後に、近年中国の貧富の差が拡大する一方で、経済構造のバランスが崩れつつあり、経済発展の恩恵が不正なルートを通じて少数の人に集中したため、社会資源の分配の不公平と貧富の差の拡大を引き起こしたと分析し、これは社会の安定にとって最大の脅威だと警鐘を鳴らした。

(翻訳編集:高遠)

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