中共 財政難で富裕層への課税強化 海外信託に20%

2026/07/28 更新: 2026/07/28

中国共産党(中共)財政省と国家税務総局は7月24日、中国人が資産を海外信託に移す際に生じる利益や、信託の運用中に得た収益、信託終了後の清算益を課税対象とする新たなルールを発表した。これらの所得には20%の税率を適用する。

すでに海外信託を設立している一部の個人についても、過去に納めていなかった税金を申告し、納付する必要がある。

専門家は、地方財政の赤字が拡大する中、中共当局が富裕層による資産保全や次世代への資産承継に長年利用されてきた海外の資産管理の枠組みを、直接調査の対象に加えたとみている。

海外信託とは、海外の法律に基づいて設立した信託、または信託と同様の機能を持つ海外の法的な枠組みを指す。

「海外信託に関する個人所得税事項についての公告」によると、中国人が財産を海外信託に移した場合や、海外信託を通じて収益を得た場合は、いずれも個人所得税を申告しなければならない。

中国の銀行業界でファンド管理に携わる馮明さん(仮名)は、このように説明した。

「中共は今回の新ルールを大々的に発表せず、専門家による解説もなく、議論もほとんど見られない。これは富裕層の海外資産を継続的に把握し、課税するものだ。海外に資産を持っている限り、税金を納めなければならない。まず資産の出所を自己申告させ、合理的な説明ができなければ、処罰する。罰金を含めれば、負担は定まった20%を上回る可能性がある」

資産移転 運用 清算のすべてに課税

新規定によると、中国本土の居住者が企業の持ち分や株式、不動産、その他の資産を海外信託に移す際、資産の時価に相当する公正価値が取得費を上回る場合、その差額は中国の税制上の「財産譲渡所得」として課税する。税率は20%である。

信託の運用中に得た利子や配当、分配金、資産の譲渡益についても、それぞれの所得区分に基づいて申告しなければならない。いずれも20%の税率を適用する。

信託終了後に生じた信託財産の清算益についても、利子や配当などによる所得として、20%の個人所得税が課される。

海外信託は通常、香港やシンガポール、ケイマン諸島、英領バージン諸島などの国・地域で設立したものだ。

中国の富裕層は、企業の持ち分や金融資産、その他の財産を信託に移し、信託契約に基づいて受託者に管理させ、指定した受益者に分配している。こうした仕組みは、個人資産と企業資産を切り分ける目的などに利用している。

交通銀行の個人資産管理アドバイザー、郭方さん(仮名)は、中共が今回、目立たない形で海外信託への課税を導入したのは、中国の富裕層が保有する主要資産を対象にするためだと指摘した。

「海外信託への資産移転から運用、終了まで、すべての段階を課税対象に組み込むものだ。現在、1千万元を超える資産を持ち、海外にも資産を保有する中国人は約200万人いる。過去数十年間、こうした人々は海外信託を通じて資金を国外に置き、関連する収益について税金を納めてこなかった」

香港の保険も次の課税対象か

公告は、所在する国や地域の金融監督当局の監督を受け、不特定多数の顧客を対象に独立して事業を行い、自らリスクを負う銀行、保険会社、証券会社、ファンド運用会社が発行する金融商品について、今回定義された海外信託には該当しないと明記している。

平安保険の保険アドバイザー、劉濤さんは「中国本土の富裕層が数年前に香港の保険会社で購入した高額の配当付き貯蓄型保険について、本土の税務当局は現在のところ、正式には課税していない。しかし、年末までに海外の配当付き貯蓄型保険についても、納税を求められると聞いている」と述べた。

劉さんによると、2016年は中国本土の富裕層が香港で高額の配当付き貯蓄型保険を多く購入した時期だった。同年に契約した10年満期の商品が今年、相次いで満期を迎える。

「税務当局が保険の配当開始を把握すれば、課税を求める可能性がある。これも一種の投資であり、信託やファンドとともに課税対象へ組み込まれる」

過去の未納分も90日以内に申告

中共財政省と国家税務総局が公表した政策解説によると、海外信託への資産移転時に納付していなかった税金については、原則として過去3年分を追徴する。ただし、対象金額が大きい場合、税務当局は中共の税収徴収管理法に基づき、追徴期間を延長できる。

2025年以前に海外信託の運用中に生じ、まだ申告していない収益については、新規定により一括して計算し、利子や配当、分配金による所得として申告、納税しなければならない。

納税者は公告の施行日から90日以内に申告を完了する必要がある。期限内に納税すれば延滞金は課さないが、期限を過ぎても納付しなかった場合、税務当局は税金を追徴し、延滞金を加算できる。

脱税にあたると判断した場合は、罰金を科す可能性もある。

新ルールではさらに、どの税務当局が管轄するかについては、中国国内の企業や財産、納税者の通常の居住地を基準としている。

海外信託に移した財産が、中国国内の主要な事業会社に関係する場合、その会社の登記地を管轄する税務当局が担当する。

関連する国内事業会社がない場合は、納税者が中国国内に保有する財産の所在地、または通常の居住地を管轄する税務当局が担当する。

劉さんは、中共の地方財政収入が減少する中、税務当局が近年、海外所得への徴税を強化していると指摘した。

今回の新ルールは、富裕層が個人資産と企業資産を切り分け、子孫へ財産を引き継ぐために利用してきた資産管理の枠組みにまで、課税範囲を広げるものだという。

劉さんは、海外信託への課税が最終段階ではなく、香港の保険やその他の海外投資商品から生じる収益についても、今後、税務当局による追徴調査の対象に加えるとの見方を示した。

薛暁光
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