衛星大手ユーテルサット、パリ法廷へ

【大紀元日本11月13日】来週17日、パリ法廷で、世界衛星大手のユーテルサット社(本部パリ)が、政治的な動機付けから顧客の報道内容に干渉した問題が調査されるべきか判決が下される。

ユーテルサット社(以下、ユ社と略称)は昨年6月に、顧客である新唐人テレビ放送局(NTDTV)の中国大陸向けの衛星送信を契約途中で停止した。それに関する公聴会が今月5日、パリ商務法廷で行われた。

ニューヨークを拠点とする新唐人テレビは、海外の中国人が営む独立系の衛星放送局。2002年2月、北米での放送をスタートし、2003年7月からは、アジア、ヨーロッパ、豪州で24時間放送となっている。世界60カ国以上に特派員を備え、2008年に契約先のユ社が送信停止するまでは、ユ社のW5衛星を通して24時間、情報封鎖されている中国大陸に向けて中国の真相を報道する世界で唯一の中国語テレビ放送局だった。

新唐人テレビの放送内容には、共産政権前の中国伝統文化を紹介する番組のほか、新疆での抗議事件や中国の有毒粉ミルク事件、伝統気功法・法輪功の学習者に対する迫害などの人権問題、中国共産党政権が隠蔽しようとする中国の真相ニュースが多く含まれる。2003年、中国のSARS問題を最初にスクープした海外中国語メディアとして国際社会に注目され、「中国の空に真相の窓を開いた」と評価された存在だった。

昨年6月16日、ユ社は突然「電源サブシステムの異常」を理由に、W5衛星から中国大陸向けのトランスポンダの送信を停止した。それ以来、W5衛星に容量がないという理由で、シグナル送信を拒否している。

報道の自由を守る「国境なき記者団」は、ユ社の社員と北京宣伝部の関係者との会話録音を昨年6月に入手しており、送信停止は「事前に予定された政治的背景のある意図的な行動であり、情報の自由な流れを阻止し、ユ社の操業規約に反する」と指摘する。

今年1月には、欧州議会で785人の議員の過半数を大幅に上回る支持を得て、ユ社に新唐人の中国向け放送を再開することを促す決議が下され、中国国内で高まる人権運動を支援する勝利と捉えられた。同決議には「欧州連合は、自由、民主主義の理念に根差し、人権・基本的自由・ 法律を尊重することを基盤とし、またこれらの理念によって定義づけられている」と明示されている。

今年7月、新唐人テレビはパリの商務法廷に、ユ社の行動を調査する専門家を指名する申立てを提出。 先月13日に予定されていた公聴会の前夜に、ユ社の弁護士が新唐人の法務チームに箱一杯の関連書類を手渡したため、新唐人側で書類に目を通す時間を設けるため、公聴会は今月5日まで延長されていた。

新唐人側の弁護士であるウィリアム・ボーデン氏は、有利な判決になると確信している。「ユ社は調査を恐れないと言っているが、それなら、なぜユ社はこれほどまでに調査を阻止しようとしてきたのか」と指摘する。

新唐人フランスのスポークスマン、イザベル・チャイグノウ(Isabelle Chaigneau)氏は、 「新唐人側の弁護士のプレゼンテーションには説得力があり、議論も明晰だった。フランスの法律が正義を守り、ユ社が新唐人テレビの送信を停止した本当の理由を明確にすることを期待している」 と、公聴会の進展に満足していた。

一方、ユ社側の弁護士は、公聴会後のコメントを拒否した。

(記者・Guan Yuning/翻訳編集・鶴田)
関連記事
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
WHOは、5月27日に開催される世界保健総会に先立ち、パンデミック条約の一部条項を緩和したが、アメリカの批評家たちは、これらの変更が政策に対する懸念を十分に解決していないと指摘している。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。