COP15:政治合意を採択 途上国に自主目標要求、拘束力なし

【大紀元日本12月19日】19日、コペンハーゲンでの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議 (COP15)が、ようやく閉幕した。温室効果ガス削減義務に関して、京都議定書で削減義務のなかった途上国が、自主目標を申告する内容などの政治合意を採択する形となった。先進国を代表する米国と、途上国と組んだ中国との戦いの妥協の結果。具体的な目標設定と法的拘束力がない協定書としてCOP15で元々目指した目標より大きく後退したことに不満を感じる国は多い。

合意には、途上国が2010年2月までに自主目標を申告する要求のほか、▽先進国は2020年の温室効果ガス排出量を2010年2月までに申告する▽米国などの先進国は途上国の森林破壊防止などに2010~12年に300億ドルを提供する。さらに2020年までに年1000億ドルの提供を目標とするなどが記されている。

これまでの会議では、先進国と途上国を代表する米中間で、途上国の削減に対する義務を巡る論争が行われてきた。

17日、米国クリントン国務長官は、発展途上国の温暖化対策のため、他の先進国家と協力し年間1千億ドル(約9兆円)規模の支援システムを構築する意向を発表した。同時に新興国を含むすべての主要国に、温室効果ガス削減を執行する透明性を要求、削減を担保する「監視・報告・検証可能」システムの設立に合意するよう求めた。

この提案に対して、中国の温首相は、18日の首脳級会合全体会合で、「会議の結果がどうなろうとも中国は自らが定めた目標を達成し、さらに上積みすることを確約する。これはあくまで自発的なものだ」と米国の提案に反発、具体な削減の指標設定を拒否した。また、中国はアフリカ諸国への影響力を発揮し、アフリカ諸国及び途上国を中心とするグループ77と連携し、米国や他の先進国に対抗する動きを見せた。

そのため、18日の首脳会議の局面は行き詰まっていた。

120カ国以上の首脳が参加しながら協議に達成できない焦りの中、オバマ米大統領が同日夕に、招待されていないにも関わらず、中国が召集した中印ブラジルと南アフリカ4カ国の首脳会談に割り込むなどの動きを見せ、同日深夜にようやく合意に達した。

自ら取りまとめ役を買ってでたオバマ大統領が、法的拘束力のある協議の達成を待てば、結果はないと自分の考えを打ち上げた。

しかし、COP15で予定された結果より大きく後退した協議の結果に、不満を感じる国は多い。グローバル温暖化対応に最も積極的な国を代表するドイツのメルケル首相はコペンハーゲン合意にサインしたが、「複雑な感情」「新たな合意に向かう道のりは長い」と話している。

AP通信の報道によると、欧州委員会のバローゾ主席は、同委員会の目標より「はるかに低い」と「自分の不満を隠したくない」と明示する。

コペンハーゲン合意について、EU27カ国を代表するスウェーデンのアンドレア・カーグレン環境大臣は、中国が会議中、「なんどもブロックする」と中国からの障害を批判すると同時に、米国が17日に出した提案は、手遅れであると話した。

一方、途上国を司会するスーダンの大使は、米国が一方的に各国間交渉を行うことは透明性に違反すると批判した。

合意の中、産業革命以前の平均気温からの上昇を2度以下に抑えるとの科学的見解は確認されたが、と環境団体は「意味がない」と批判。「実際の行動に関する約束はゼロ。温室効果ガス削減の重要な決定を蹴飛ばしたような結果」と国際NGOオクスファムの代表、ジェレミー・ホッブス氏は不満を隠せない様子だった。

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