インターネット・メール、人々の言語能力を弱めたか

【大紀元日本2月4日】

最初のブラウザが世に出た1994年から、インターネットは世界の情報通信を大幅に変えた。メッセージや電子メールを瞬時に受け取り、また瞬時に自分の観点と意見を伝えることができ、人と人との間のコミュニケーションに大きな変革をもたらし、言語および文章作成にも影響を与えた。これらの変化は果たして良いものなのか悪いものなのかについて、多く議論されている。

コロンビア大学英語および比較文学科のエレノア・ジョンソン(Eleanor Johnson)教授は、「ショートメールなら、でたらめな用語と誤った文法の文章は許されるのだという錯覚を学生たちに与えた」と、多くの誤用が生じたのは電子メールなどの爆発的発展によるものだと主張している。

ジョンソン教授はここ数年間、学生たちが提出したレポートの中に、不適確な語彙が沢山使われたと指摘し、ある研究報告書の中に友人に話しかけるような言語や俗語で埋まっていることに驚いたと示した。ジョンソン教授は、学生たちは何時でもどこでもメールでコミュニケーションが取れることが原因だと見ており、彼らはある語彙が適当だと思っているが、実際は、その語彙が持つ本来の意味は彼らの思っている意味と異なっているのだと指摘した。

一方、100冊以上の著作を出版した英国言語学者デビット・クリスタル(David Crystal)氏は、「英語が全く違う言語になってきているのはインターネットが原因ではない」と、インターネットの言語への影響は小さいと主張している。また、「電子メールは正式なものではないとし、最も重要なのは情報内容であり、文法の正確さではない」と強調した。

これに対して、インターネットやショートメール用語辞典のNetlongo 創始者

エリン・ジャンセン(Erin Jansen)氏は、新しい技術は現在の言語を根本的に変えていないが語彙を大量化したとクリスタル氏に同調した。また、語彙の大量化によって学生たちの文章作り、またコミュニケーションに役立てば良いとし、表現方法が広まることは授業にとってメリットになると主張した。

前出のジョンソン教授は、学生たちの作文の普遍的な誤用とインターネットとの関連性を証明する科学的証拠はないが、ここ数年間、学生たちの言語の誤用をもたらしたその他の文化変革もないと示した。

日本でも小学生から大人までメールで周りの人とメッセージのやり取りが毎日のように行われている現状で、メールの中に略語、絵文字や顔文字も当たり前のように沢山出ており、多くの造語も現れている。パソコンの普及による日本人の活字離れが以前から少しずつ問題になって来ており、伝統文化である正しい漢字が書けなくなった人も増えている。インターネット用語はこれから先の数年間でさらに大きく変化する可能性もあるが、上述の3人は、学生たちには言語の使用や規則に対する正確な理解が必要という一致した見解は日本でも同じと言えよう。

(翻訳編集・豊山)