神韻芸術団演奏家の夫 上海の空港で拉致か

【大紀元日本3月3日】2月18日午後、米国神韻芸術団二胡演奏者である美旋さんの夫・江峰さんが、上海浦東空港からアメリカへ出発する際に、突然行方不明となった。美旋さんは、神韻世界ツアーの公演を妨害するため、中国共産党上海当局及び610弁公室が夫を拉致したに違いないとして、当局に「直ちに夫を釈放すべきだ」と訴えた。

610弁公室とは、江沢民・元中国国家主席が法輪功を弾圧するために設置した特務機関であるとともに、中国の憲法およびあらゆる司法体系の上にある特権機構である。1999年6月10 日に設置されたため、このように呼ばれている。その性質は残忍かつ冷酷で、ナチスドイツのゲシュタポ(秘密警察)に類似するとされる。

610弁公室に拉致された可能性大

美旋さんによると、ニューヨーク時間の2月18日午後に米国ニューヨーク空港に到着するはずの夫に会えなかった。調べてみると、夫の名前はコンチネンタル航空CO86便の乗客名簿にあったが、飛行機には搭乗していなかった。その後すぐ、上海で夫を空港まで見送った友人に連絡して確認したところ、定刻に安全検査をパスしているという。

本紙記者が上海浦東空港に電話をかけて尋ねたところ、セキュリティ担当の上海空港派出所の2人の警察官は、その経緯は知らないと答えた。彼らは、「610または国家安全部が人を連れ出しても、我々には分らないし、彼らも我々に知らせる義務がない」と語り、「610または国家安全部に拉致された可能性が大きいだろう」と言う。その2人の警察官はさらに、上海空港派出所ではどうすることもできないので、家族が直接中国共産党の上海610弁公室または上海公安局へ引渡しを求めるしかないと話した。

2月22日、上海市国家安全局の自称003のスタッフが本紙記者の電話取材を受けたが、事件の真相を話すのを拒んだ。また、上海市610弁公室のゴン氏が、本紙記者の電話での質問に対して「調べる必要がある」と答えた。

現在までのところ、美旋さんには夫に関する情報は全くなく、上海の空港から中国の家族に対しても何も連絡はないという。

結婚10年同居数カ月 夫救出に支援要請

「結婚して10年過ぎたが、私達が一緒にいた時間は数カ月だけだった」

美旋さんの言葉は感傷的で、「これもすべて中国共産党の迫害がもたらしたものだ」という。

美旋夫婦は2人とも法輪功学習者である。夫の江峰さんは42歳で、1992年から法輪功の修煉を始めた。1999年に2人が結婚してから間もなく、中国共産党当局による法輪功への弾圧が始まった。夫は修煉の放棄を拒絶したため、不法に逮捕され、3年の実刑判決を言い渡された。夫が釈放される数日前に、美旋さんも不法に逮捕され、4年の実刑判決を言い渡された。美旋さんは釈放されてから間もなく、米国へ渡った。

美旋さんは10歳から二胡を学び始め、中国芸術学院では長年、首席奏者を務めた。07年から神韻芸術団の世界ツアーに参加し、二胡独奏者として人気を博している。09年には、神韻芸術団の一員として来日した。

美旋さんは、「夫がパスポート申請から空港へ行くまでの期間、中国共産党はずっと手を出さなかった。彼らが飛行機に搭乗する直前に夫を拉致する計画を立てていたことは明らかだ」と語り、さらに「私に対する恐喝、神韻に対する妨害があっても、彼らの思い通りにはならない」とつけ加えた。

美旋さんは、「すべての善良な人々に、夫の行方を探し出し、上海当局は私に夫を返し、私達が早く団欒できるよう助けて頂きたい」と呼びかけた。

中共政権の神韻公演に対する妨害

著名な上海の人権派弁護士・鄭恩寵氏は、中国共産党が神韻芸術団の家族を恐喝したり、拉致したりするのは、神韻公演の力を恐れているからだとコメントした。鄭氏は神韻公演のDVDを見たことがあり、神韻公演の影響は甚だ大きくて深いものであり、「これは中国伝統文化の中国及び国際舞台での復活だけでなく、人々に精神面での向上を促しており、人々の良知と本性を呼び覚ましている」と語った。また、神韻公演は国際社会だけでなく、中国国内でも影響がますます強くなっている。多くの人はDVDを複製して贈ったり、またある人は音楽、舞踊の先生や学生に神韻のことを勧めたりしているとも語った。

神韻芸術団の世界各地での巡回公演は、今や失われつつある中国の伝統文化の真髄を中国の古典舞踊と音楽で伝えている。中国文化の仮面を被っている中国共産党はそれを恐れ、あらゆる手段で妨害している。海外でスパイを通じてデマを飛ばして華人を恐喝したり、劇場に圧力を加えたりする以外に、最近は、神韻芸術団の中国大陸の家族を脅かしたりしている。特に香港で神韻公演が行われるニュースが伝わってから、さらに妨害を強めている。これまでにも神韻芸術団の団員の王琳さん、陳立さん、許良さん(すべて仮名)の家族に対する恐喝や嫌がらせがあった。

(記者・辛菲、編集翻訳・金本)