西南部大干ばつで飲み水難 村民が不浄水飲み、伝染病発生
【大紀元日本4月15日】百年に一度の大干ばつに見舞われた中国西南地区で、伝染病が発生している。飲料水不足に苦しむ農民らが泥水や家畜の汚水など不潔な水を飲み、下痢、発熱、おう吐の症状を訴えている。特に干ばつが深刻な雲南省では、チフスや出血性大腸炎などの伝染病が目立っている。中国国内メディアが伝えた。
「温州晩報」によると、雲南省各地では半年以上雨が降らない日が続いている。同省石林県の鋪兵村では昨年暮れから、千人以上の村民が基準値を超えた細菌の存在する河水を飲用しているという。現地政府からの供給水では足りず、泥水を飲んだ人々が下痢や発熱、嘔吐などを引き起こしている。
鋪兵村を含む多くの干ばつ地区では、病原菌に汚染された食物や飲用水が原因で、チフス、パラチフス、出血性大腸炎、A型肝炎などの伝染病が発生している。
干ばつが深刻な地域は発展の立ち遅れた山岳地帯で、適切な医療行為を受けられずに命を落とす患者も多い。今後、更なる疫病の拡大が懸念されている。
また、干ばつが続く雲南省では空気の質が低下しており、同省の昆明市などでは呼吸器官の伝染病にかかる者も増えている。
「信息時報」の記者は、貴州省黔西南州の晴隆県にある村を数ヵ所訪ね、危機的な水不足の状況を伝えている。報道によると、一部の村民は羊の汚水を飲んでいたという。
「飲む水があればいい、今は水が汚いことなど構っていられない」。晴隆蓮城鎮江満村の李涛さんは話す。李さんの家で飲んでいる水は、半月前までは食器を洗った後、羊に与えていた。羊が残した水が沈澱すると、人がまたそれを飲む。容器の底に、羊の糞が沈んでいたこともあった。同村の住民の多くは、李さんと同じようなことを体験している。
干ばつが深刻な山岳地帯の村では、屋内の貯水設備が普及していない。そのため、現地政府は毎日、民家の屋外に設置されたタンクに水を貯水している。これらのタンクには覆いがなく、小枝や小動物などが水の中に落ち易いため、衛生的ではない。ある小学校の貯水タンクの水は、山から滑り落ちてくる黄土で黄色く変色していた。
学校の責任者は、「黄土や木の葉などは、濾過膜を通せば水はきれいになる。しかし、ネズミやその他の昆虫が入っていたら、その影響は大きい」と話す。
伝染病予防について専門家は、生水を飲まない、生ものや冷えたものを食べない、吐き気や嘔吐などの症状が出たらすぐ病院へ行くようにと注意を呼びかけている。
雲南省衛生庁はすでに、各級の疾病コントロール機関に対して24時間体制で疫病を監督・制御するよう通達を出した。各病院も下痢などの症状が出た患者に対して検査を徹底し、迅速に衛生庁へ報告することが義務づけられている。
先日発表された雲南省衛生庁のデータによると、今年1月から3月までに全省の腸検査で発見された病例は2千352件で、昨年同時期に比べて少なかった。ネットでは、中国当局がデータを捏造しているとする疑いの声も上がっている。