「中国最大の迫害」、米国議会で公表

【大紀元日本4月30日】4月26日、中国で弾圧されている「法輪功」団体の海外広報センター、法輪大法情報センター(FDIC: 本部・ニューヨーク)は、米国議会で記者会見を開き、2010年度の年間報告書を公表した。監禁人数や迫害状況、迫害の報道において見られたメディアの問題など、中国共産党政権による法輪功弾圧に関する様々な側面が取り上げられ、世界各国の人権派弁護士やジャーナリスト、人権問題の専門家、弾圧被害者の家族によるパネルディスカッションが行われた。

「数百万人が監禁」

記者会見の進行役を務める米国議会国際宗教自由委員会のニーナ・シェア氏は、「中国において、現在、法輪功の迫害の実態はほとんど知られておらず、その残酷さは最悪を極める」と述べ、国連拷問特別調査官マンフレッド・ノーワック氏が2006年に作成した現地調査報告書のデータに依って、数百万人の学習者が監禁されている事実を指摘した。

ニーナ・シェア氏が証言陳述(大紀元)

『新中国を失う』の著者であり、中国問題を専門とするジャーナリストのイーサン・ガットマン氏は、記者会見に出席し、自ら入手した法輪功弾圧に関する大量の証拠を公表した。ガットマン氏は、強制労働所、投獄、その他の長期的な拘留設備に入れられた法輪功学習者は、45万から100万人と推定している。

ガットマン氏は、2005年に中国から亡命した郝鳳軍(Hao Fengjun)氏から中国の技術に関わる機密情報に関する歴史を教えてもらった。郝氏は、当時、法輪功に関する情報はかなり進んでおり、610オフィスが逮捕する予定の法輪功学習者の完全なファイルなどが、すでに揃っていたことを告げた。個々の学習者に関しては、「家族、各地域ごとの学習者の数、協調人の数などの詳細が網羅されていた。1年や2年で収集できるようなものではなかった」とガットマン氏は語る。

郝氏の職務は、特定の重要な学習者の周辺を探ることだった。法輪功を根絶するために1999年6月10日に開設された610オフィスは、個人のカメラ監視を大量に行い、多くの一般集会をテープにとり、高度な顔認識技術に利用。集会に参加している人々のビデオさえ手に入れば、コンピュータのシステムから個人情報を得ることが可能だったと当時を振り返ったという。

『新中国を失う』の著者、中国問題の専門家イーサン・ガットマン氏が証言(大紀元)

昨年109人が獄中で死亡

「数千万人もの中国大陸にいる法輪功学習者は、常に拘留、拷問、死のリスクに直面している」と 同情報センターの常任理事レビー・ブラウド(Levi Browde)氏はまず、同報告書の概要を説明した。昨年1年間で2200人以上の学習者が新たに投獄され、109人が獄中で死亡している。

同報告書は、中国共産党政権が2009年に弾圧を強化し、監視を続け、「学習者の家を夜間に襲撃し、電気棒で叩き、長期的に投獄し…法輪功学習者すべてを認定し、強制的に『転換』させようとする」事実を指摘している。

中国当局の監禁施設に入れられている人の半数以上は、法輪功の学習者である。また、学習者への弁護を提供する弁護士も監禁されたり懲役刑を科せられている。著名な人権派弁護士・高智晟氏を含め、数人の弁護士の実例が挙げられた。

レビー・ブラウド常任理事が証言(大紀元)

学習者の数

欧米メディアの報道によると、1998年に7千万人の学習者がいたと中共政権は公式に発表している。迫害が始まってから、中共政権は2百万人に減ったとするが、同報告書では、2千万人から4千万人が法輪功を積極的に促進しており、その他にかなりの人数が、家で法輪功を学習していると推定している。

この数字は、法輪功学習者が安全な形で接続している資料サイトが約20万あり、各資料サイトからは平均して100人~200人の法輪功学習者につながるという事実から算出されているという。

メディアの問題

同報告書は、欧米メディアの沈黙と法輪功に対する偏見の問題に言及しており、この問題に取り組むために、法輪大法情報センターは、法輪功の迫害の規模と方向に関する新しい事実を提供していく意向。

また、中国共産党政権は、学習者に「過激派グループ」「異様な団体」というイメージを植え付けようとしているが、実際は「中国の中核」となる人々であることをブラウド氏は強調。「セクト」「カルト」などの軽蔑的な用語を使うメディアも多く見られる。このような言葉は、法輪功学習者に相対する人々の態度や行動に影響を与え、学習者に対する距離を生み出し、法輪功を理解する妨害となってしまっている。同センターは、「身体と心を養う気功修錬法」などの言葉を使って、法輪功の特性を正確に伝えるよう、政府やメディアに勧告した。

血まみれの臓器摘出

2010年度のノーベル平和賞候補者であり、カナダの著名な人権派弁護士デービット・マタス氏が、記者会見の席で証言。毎年約9千人の学習者が獄中で殺されており、目の角膜、肺、肝臓、腎臓、皮膚などの臓器が移植用に売買されていることを報告した。

マタス氏はカナダ外務省元高官のデービット・キルガ氏と連携して、2006年から国際人権団体の依頼を受け、中国国内での学習者を対象とする臓器強制摘出の実態調査に乗り出した。後に57項目の証拠に基づいて調査報告書を公表。臓器狩りは「紛れもない事実である」という結論に達した。2009年10月には、同報告書を『Bloody Harvest, the killing of Falun Gong for their organs』(血まみれの臓器摘出)として正式に出版した。

同氏は、中共政権が死刑に関する統計を一般に知らせないことに落胆している。この数字が分かれば、2000年から2005年の間、法輪功学習者の他にも臓器を摘出したグループがあるかを割り出すことができる。

「中国政府は、政権維持のために法輪功を抑圧する必要があると感じているのかもしれないが、政権維持のために法輪功学習者の内臓を摘出する必要は全くない」と同氏は指摘する。

『血まみれの臓器摘出』の著者、カナダ人権派弁護士のマタス氏が証言(大紀元)

被害者親族の証言

ワシントン在住の中国人留学生・厖(パン)さんが母親とおばが遭遇したことについて証言した。2人は法輪功の修煉を放棄しないとの理由で、北京五輪の直前に逮捕され、後にそれぞれ10年と9年の懲役刑を科せられた。

厖さんは、「私たち家族のケースが稀でないことが実に悲しい。多くの家庭が苦しみに耐え続け、多くの幼いこどもは親を亡くした。これらの悲劇が起きたのは、法輪功修煉を放棄しないという唯一の理由に尽きる」と語った。

中国人留学生・厖さんが家族の遭遇を証言(大紀元)

米国議会は3月に605号決議案を可決。中国当局に対して、法輪功の弾圧を直ちに停止し、監禁中の学習者全員の釈放を求めている。これについて、厖さんは、「この動きは、母やおばと同じく、暗闇に瀕する学習者に希望と明かりをもたらしている」と感謝の意を表した。

迫害の首謀者を国際社会で起訴

法輪大法情報センターのレビー・ブラウド常任理事は「この集団迫害は、中国の憲法だけでなく国際法にも違反している」として、具体例を挙げた。

昨年末から、スペインとアルゼンチンの裁判所は相次ぎ、江沢民・元国家主席を含む数人の最高指導部の幹部を、法輪功弾圧の首謀者として、ジェノサイドと拷問の罪で起訴した。

全世界法輪大法情報センターのレビー・ブラウド常任理事は、これらの起訴案は、弾圧制止に重要な意義を持つと評価している。中国当局が法輪功弾圧に用いた卑劣極まりないやり方は、全世界に影響をもたらす恐れがあり、すべての人々にとって脅威である。国際社会はこの弾圧から決して目をそらしてはならないと述べた。

(翻訳編集・叶子)
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