広東語擁護運動が拡大 広州・香港で、市民同時抗議デモ
【大紀元日本8月2日】中国広東省当局による広東語使用制限の政策に反発し、8月1日、香港と中国南部の広州市で、千人を超える市民が「広東語擁護」集会とデモを同時に行った。
香港報道局(RTHK)などの報道によると、広州市の中心部にある人民公園に、約千人の市民が集まった。憤る市民らは「広州人は広東語を話す」と叫び、当局に、現地文化を尊重し現地語の自由な使用を認めるよう訴えた。
抗議者に対して、当局は数百人の警察を出動させ、現場から追い出した。一部の抗議者は警察に強制連行された。
隣の香港では、
広州市民の「広東語(粵語)擁護」運動を支援し、8月1日、香港市民も集会とデモを行った(Getty Images)
約200人が中連弁(北京当局の香港での駐在地)の前でデモを行い、広州市民の行動を支援した。
「先週広州であった集会に参加出来なくて悔しかった。今日、広州から香港に来て抗議に参加したのは、自分の文化を守りたいから。大陸とは違い、ここでは直接に自分の声を出せるからです」と21歳のある広州市市民がAFP通信の取材に話した。
7月25日に広州市で行われた抗議集会は、当局が事前禁止令を出したにもかかわらず、1万人以上の市民が集まった。中には、「80後」(1980年代に生まれた世代)と呼ばれる若者も非常に多かった。地元のテレビ放送局のコメンテーターは、現在広州市の若者は、就学や就職において、外省から移ってきた人々との間で激しい競争を強いられているため、地元文化への帰属意識がより強くなっていると指摘した。
中国南部の広東省や香港、マカオ特別行政区では、約7千万人が広東語(広州話、粵語)を母語として使用している。海外の華僑圏でも広東語は最も広く使われている言語。最も古い中国語の要素が残っている方言として、北京語を元にした標準語が代表する文化とは大きく異なる固有の文化を育んできた。
抗議活動の背景には、
「我々の口を封じようとするたび、我々はさらに大声を張り上げる!広州話」と書かれたT-シャツを見せる香港の抗議者(Getty Images)
7月はじめ、広東語のテレビ放送を共通語(北京語)放送に切り替える方針を広東省政府が決定したことがある。さらに、広州市内の一部の学校でも、校内での広東語使用を禁止する動きが出たことに対し、広東語圏の人々は、広東語や地域文化を保護するために自ら行動を起こした。
香港と広州市は、広東語が最も広く使われている地域であり、香港が中国に返還されて13年になる今も、この地域では、広東語が依然主要公用語としての役割を果たしている。広東省当局の広東語使用制限の方針に対して、多くの香港市民が危機感を抱いている。香港の出版社「次文化堂」の彭志銘・社長は「国は公用語を統一する必要はあるが、地域文化を消滅させてはいけない」と述べた。
この風潮を受け、香港で開催された「香港書展」(7月21日~27日)では、広東語研究に関連する書物が高い人気を集めたという。出版社の次文化堂が出版した『小狗懶擦鞋』と『次文化語言』がベストセラーとなったもよう。
同社の彭社長は、広東語は春秋戦国時代からすでに存在し、文化基礎が深く、真の中原文化であるのに対して、共通語は北方の満州族の言葉に由来しており、一部の北方の方言であるため、文化的な基盤が比較的薄い。広東語は共通語に比べ、より奥深く、表現力も豊かだと話した。また、彭社長は、広州市民が厳しい政治環境の中に置かれていても、地域文化を守るための抗議集会を行うことが重要で、香港の人々が本土文化を再認識するきっかけとなるよう願っている、と語った。