北京の給水、極限に 隣省が水稲の作付けを停止して送水
【大紀元日本8月3日】常住人口が1972万人に達した中国の首都・北京市は、深刻な水不足に悩まされている。北京に送水するため、隣の河北省の2市では、全ての作付けを水稲からトウモロコシに変えているという。
極限の崖っぷちに立つ都市
中国国内紙「21世紀経済」先週の報道によると、「人口の急増と都市の急速な規模拡大のため、北京市の水資源に大きな負担がかかっている」と、北京の水源問題研究家・王建氏は指摘している。
北京の都市規定では、2020年の人口を1800万人程度に抑えるとしてきたが、北京市政治協商委員会の最近の発表によると、昨年末、北京市の常住人口はすでにこの基準を超え、1972万人に達した。毎年54.3万人のスピードで膨張していることになるという。
都市人口の急速な増加に伴い、現地北京の給水状況が日増しに逼迫している。北京市の年間一人当たりの水の使用量は210立方メートルであり、国民年平均使用量の10分の1。
北京市の水供給を保障する密雲と官庁の両ダムの総容量は40億立方メートルを超える規模だが、近年は、両ダムの貯水量は10億立方メートルほどに過ぎないという。
地表の水供給が逼迫する中、地下水も北京の重要な水源となっている。しかし、地下水の過剰な汲み上げによる問題がすでにはっきりと現れている。
王建氏は、「60年代に比べ、北京の地下水はおよそ106億立方メートル減少している。これにより地盤沈下が引き起こされ、地下パイプの破裂など、一連の問題が生じる」と指摘している。
このような状況下において北京の水源獲得の目は近隣の河北省に向けられた。
河北省では作付けを稲からトウモロコシに変更
河北省の「崗南」「黄壁庄」「王快」の3つの大型ダムが、北京への給水において主要な役割を担っている。09年、北京市には黄壁庄、王快等のダムから緊急に送水が行われ、その水量は年間で2.64億立方メートルにのぼった。
直接的な水供給のほか、河北省の張家口と承德の両市は、作付けを全て稲からトウモロコシに変更した。これは北京に大量に給水するためであると、河北省防汛抗旱弁公室顧問の魏智敏氏は話した。
しかし実際は、河北省も同様に水不足問題に直面している。その深刻さは北京市とあまり変わらない。魏氏によると、河北省のここ10年の供給可能な水量は129億立方メートルで、河北省自身も80億立方メートル近い水不足を抱えている。また年平均降水量は454.6ミリと1956年から2000年の降水量に比べると14.6%も減少しているそうだ。
河北省の年間一人当たりの水の使用量は192立方メートルで、北京市よりも少ない。水不足を補うため、地下水利用や他省との調整に苦慮しており、毎年山東省内を横切り黄河から水を引いている。
「この問題の解決は、先ず都市の人口と規模のコントロールにあると私は考える。都市機能を簡素化すれば、首都への大量な人口流入を緩和することができる。この基盤に立って、北京市は『低水経済』を発展させるべきである」と王氏は指摘する。
いわゆる「低水経済」とは、すでに存在している「節水経済」とは別もので、発展モデルや新技術などの方式を通じ、水資源に対する過度の依頼や需要を減らすことができる経済パターンであると、王氏は説明する。